研究課題
本申請課題は、理論上あらゆる抗原に対するモノクローナル抗体を取得可能な新規ヒトファージ抗体ライブラリを自ら構築し、その中から抗体薬物複合体(Antibody-Drug Conjugate; ADC)開発に有望な、ヒト由来細胞内侵入抗体を迅速単離可能なシステムの構築を、3年の計画で構築しようとするものである。本システムで開発されるヒト由来細胞内侵入抗体は、標的細胞特異的なターゲティングのみならず、その細胞内への薬物デリバリーをも達成可能なツールとなるため、ヒト由来ADCの開発過程を一挙に短縮可能である点で、他を圧倒する競争力を提示できるものと考えられる。初年度の達成目標は、高品質なヒト合成ファージ抗体ライブラリの構築にあった。近年、この抗体ライブラリのデザインにおいて、ライブラリを構成する抗体の可変領域VHおよびVLの組み合わせ(VH-VLペア)が、得られる抗体のin vitro、in vivoでの安定性に大きく寄与することが判明し、天然に起こり得ないVH-VLペアの存在によって、抗体ライブラリの品質が大きく損なわれる可能性が指摘されている。本観点から我々は、ヒトの体内で安定的に存在可能な4種のVH-VLペアに着目し、抗原結合部位(CDR)をランダム化した130億種類の一本鎖抗体(scFv)からなる、新規の非免疫ヒト型ファージ抗体ライブラリを構築した。本ライブラリからは、試験した15種全ての抗原に対する抗体が取得でき、scFvでありながら、解離定数10-8 Mの高親和性抗体が取得されるなど、高品質なライブラリであることが判明した。現在、より多種類の抗原に対する抗体取得など、更なる有用性を検証中である。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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