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2014 年度 実績報告書

異所性骨化症の治療を可能にする新技術基盤の確立

研究課題

研究課題/領域番号 26713010
研究機関大阪大学

研究代表者

西川 恵三  大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任助教(常勤) (30516290)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード異所性骨化 / 骨芽細胞 / 破骨細胞 / 転写制御 / iPSC / エピジェネティクス / 細胞分化 / コンディショナルノックアウト
研究実績の概要

関節の骨化を呈する異所性骨化症は、運動障害を招く重篤な疾患である。現在、異所性骨化症の治療は、高いリスクを伴う外科手術のみであり、新たな治療法の開発が焦眉の急である。本研究では、石灰化にかかわる骨芽細胞様線維芽細胞や骨破壊を担う破骨細胞に対する新たな創薬標的の同定を試みるとともに、人工多能性幹細胞(iPS細胞)によるアプローチを併用することで、異所性骨化部位で骨吸収と骨形成を創薬と細胞療法によって操作する新たな方法論の確立を目的とする。これによって、骨吸収と骨形成を標的とした二相性の治療を効果的に実施することで、革新的な異所性骨化症の治療手段として確立することを目標に掲げる。
本年度では、iPS細胞から破骨細胞を効率的に分化誘導する培養法を確立した(JBMM 2014)。従来方法では、共存培養を用いた方法が用いられているためにストローマ細胞などの混入が避けられず、移植のための細胞を作製する手段として問題があった。当該年度の研究を通じて、高い分化効率で破骨細胞を作製できる単独培養法を確立した。これによって、異所性骨化病態モデルマウスの治療実験で利用できる細胞の大量作製が可能となることが期待できる。
さらに、本年度では、破骨細胞の分化制御を可能にする新たな創薬標的を同定した(Nature Med. 2015)。即ち、破骨細胞の新たな分化制御因子としてDNAメチル基転移酵素Dnmt3aが重要な働きをもつことを見出した。さらに、新たに探索した当該遺伝子の阻害剤を用いることで、破骨細胞形成を生体レベルで抑制できることが明らかとなった。これによって、当該遺伝子を制御することで、破骨細胞を人為的に制御できることが期待できる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度では、iPS細胞からの破骨細胞の分化誘導法の確立に加えて、破骨細胞の制御にかかわる新たな創薬標的の同定にも成功しており、おおむね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

本年度において作製に成功したiPS細胞由来の破骨細胞が、異所性骨化病態モデルマウスの治療実験において利用可能かどうかを検討する。また、今回新たな創薬標的として同定されたDnmt3aの活性を調節する新規化合物の探索に取り組むことで、異所性骨化部位での骨破壊誘導を可能にする新規薬剤の同定を試みる。

次年度使用額が生じた理由

遺伝子改変・移植マウスの作出に想定以上の時間を要したのに加えて、解析に十分な個体数の確保もなかなか進まなかったために、当該マウスの解析費用が次年度に生じた。

次年度使用額の使用計画

現在、遺伝子改変・移植マウスの作出が順調に進んでいるために、本年度において繰り越し分(マウスの解析費用)の執行を行う予定である。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 5件)

  • [雑誌論文] Dnmt3a regulates osteoclast differentiation by coupling to an S-adenosyl methionine-producing metabolic pathway.2015

    • 著者名/発表者名
      Nishikawa K, Iwamoto Y, Kobayashi Y, Katsuoka F, Kawaguchi S, Tsujita T, Nakamura T, Kato S, Yamamoto M, Takayanagi H, Ishii M
    • 雑誌名

      Nature Medicine

      巻: 21 ページ: 281-7

    • DOI

      10.1038/nm.3774.

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] RFPL4A Increases the G1 Population and Decreases Sensitivity to Chemotherapy in Human Colorectal Cancer Cells.2015

    • 著者名/発表者名
      Naito A, Yamamoto H, Kagawa Y, Naito Y, Okuzaki D, Ohtani K, Iwamoto Y, Maeda S, Kikuta J, Nishikawa K, Uemura M, Nishimura J, Hata T, Takemasa I, Mizushima T, Ishii H, Doki Y, Mori M and Ishii M
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry

      巻: 290 ページ: 6326-37

    • DOI

      10.1074/jbc.M114.614859.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Development of an in vitro culture method for stepwise differentiation of mouse embryonic stem cells and induced pluripotent stem cell into mature osteoclasts.2014

    • 著者名/発表者名
      Nishikawa K, Iwamoto Y, Ishii M
    • 雑誌名

      Journal of Bone Mineral Metabolism

      巻: 32 ページ: 331-6

    • DOI

      10.1007/s00774-013-0547-5.

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 破骨細胞のエピジェネティック制御の解明と創薬応用2015

    • 著者名/発表者名
      西川恵三、岩本依子、石井優
    • 学会等名
      第88回日本薬理学会年会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      2015-03-18 – 2015-03-20
  • [学会発表] 破骨細胞の転写代謝システムの解明と創薬応用2015

    • 著者名/発表者名
      西川恵三
    • 学会等名
      第6回大阪免疫塾
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      2015-02-03 – 2015-02-03
    • 招待講演
  • [学会発表] 破骨細胞の転写代謝システムの研究2015

    • 著者名/発表者名
      西川恵三
    • 学会等名
      第2回先進イメージング研究会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2015-01-09 – 2015-01-10
    • 招待講演
  • [学会発表] 骨髄低酸素環境に応答した破骨細胞分化調節機構の解明2014

    • 著者名/発表者名
      西川恵三
    • 学会等名
      第87回日本生化学会大会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2014-10-15 – 2014-10-18
    • 招待講演
  • [学会発表] 破骨細胞の代謝改変とDNAメチル化制御のクロストークの実体の解析2014

    • 著者名/発表者名
      西川恵三
    • 学会等名
      転写代謝システム領域班会議
    • 発表場所
      仙台
    • 年月日
      2014-07-11 – 2017-07-13
    • 招待講演
  • [学会発表] Active repression by Dnmt3a plays an important role in osteoclast differentiation.2014

    • 著者名/発表者名
      Nishikawa K
    • 学会等名
      Symposium Immunology and Infection Biology
    • 発表場所
      ストックホルム(スウェーデン)
    • 年月日
      2014-06-10 – 2014-06-10
    • 招待講演

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公開日: 2016-06-01  

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