研究課題
精巣は、精細管と呼ばれる管状構造の組織を主体とした臓器で、精子形成はその精細管内部で行われる。精子形成過程には、精子幹細胞から精子完成へと向かうまで様々な分化段階が存在し、その過程ですべての生殖細胞はセルトリ細胞に接しながら、そのサポートを受けている。我々は、器官培養法によって精子幹細胞から精子へ至る精子形成過程の全てを、in vitroにおいて再現することに成功した。しかし、器官培養法の課題は、マウス個体由来の精巣組織をその都度採取する必要があり、実験毎にマウスを安楽死させなければならないことである。精巣をde novoに作製することが可能となれば、その問題を解決することができる。本研究は、精巣を構成する主要な細胞であるセルトリ細胞を、多能性幹細胞から分化誘導する方法の確立が目的である。これまでの研究において、Tet発現誘導システムを用いた転写因子発現法によって、セルトリ細胞のマーカー遺伝子であるSox9を発現する細胞の誘導することが可能になった。今年度は、この誘導セルトリ細胞の特性をより詳しく調べた。その結果、いくつかのマーカー遺伝子の発現が低いことと、精細管形成能を持たない細胞も多数含まれていることなどが明らかになった。次に、このような不完全に分化したセルトリ細胞を除去し、 分化誘導の精度を上げるため、Sox9よりセルトリ細胞での発現に限局したレポーターを持つAmh-GFP ES細胞を樹立した。この細胞を使用し、精子形成支持能を有する分化誘導法の開発を現在も継続中である。また、将来的に分化誘導したセルトリ細胞から大量の精巣オルガノイドを作製するために、誘導セルトリ細胞を増幅する培養法の開発も重要になると考えられる。そこで、誘導セルトリ細胞の機能を維持したまま増幅培養が可能な培養法の開発にも取り組んだ。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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