研究課題/領域番号 |
26713015
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小松 紀子 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20553358)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 関節リウマチ |
研究実績の概要 |
関節リウマチは慢性的な滑膜炎と骨破壊を特徴とする最も罹患率の高い自己免疫疾患の一つである。関節リウマチにおけるT細胞の重要性は、炎症局所への浸潤という臨床所見や、様々な関節リウマチの動物モデルやGWAS解析を用いた研究成果により広く認識されている。さらに、T細胞の活性化を標的とする薬剤が効果を示すことも関節リウマチの病態形成におけるT細胞の重要性を支持している。したがって関節リウマチはT細胞免疫の破綻によって起こる自己免疫疾患と位置付けられるが、関節における自己寛容の破綻のメカニズムはいまだ不明な点が多い。IL-17を産生するTh17細胞は自己免疫疾患の病態形成に重要なT細胞サブセットとして知られ、関節炎におけるTh17細胞の重要性はさまざまな関節リウマチ動物モデルによって明らかとなっている。一方でTregは、自己反応性のT細胞受容体をもつと考えられており、抑制機能に必須な転写因子Foxp3を発現することで自己寛容の維持に必須な役割を果たす。Foxp3を介したTreg抑制機能は関節炎の抑制においても重要であることが示されている。したがってTh17/Tregバランスの制御は関節リウマチだけでなくさまざまな自己免疫疾患の制御に重要であると考えられる。今年度の研究において、申請者はTh17/TregバランスのほかT細胞の分化可塑性を制御しうる因子の探索のために必要な実験系のセットアップを行った。今後この実験系を用いて候補遺伝子のスクリーニングを行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書に記載した関節炎誘導性T細胞を用いたマイクロアレイ解析が順調に進行し、候補遺伝子のクローニングの開始とスクリーニングの実験系の確立を行うことができたため、一定の研究成果を上げられたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、確立したスクリーニング系を用いてTh17/TregバランスやT細胞の分化可塑性を制御しうる因子をスクリーニングし、得られた因子に対して遺伝子欠損マウスや抗体の作成に着手する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していたプロジェクトの打ち合わせが次年度に延期となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
プロジェクトの打ち合わせにかかる交通費や実験のための消耗品の購入などに使用する予定である。
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