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2014 年度 実績報告書

レジオネラ菌の細胞内感染経路の解明

研究課題

研究課題/領域番号 26713016
研究機関東京薬科大学

研究代表者

新崎 恒平  東京薬科大学, 生命科学部, 講師 (70609990)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワードレジオネラ / Rabタンパク質 / プロテアソーム / 小胞体
研究実績の概要

レジオネラ感染経路に関与するRabタンパク質の同定
H26年度の解析によりRab6がレジオネラを包む小胞(LCV)をERへと誘導しているより直接的な結果を得た。まず、Rab6を発現抑制させた細胞においてLCVがERへと到達する時間に著しい遅延が生じることを見いだし、また、それに伴いRab6の発現抑制がレジオネラの細胞内増殖にも著しい遅延を生じさせることを見いだした。さらに、レジオネラ感染特異的にRab6がER上の膜融合装置であるsyntaxin 18複合体を結合することも明らかにした。これらの結果はRab6はLCVをERへと誘導し、LCVとERの効率的な膜融合を促進していることを示唆している。
LCVのリソソーム融合阻害機能の解明
H26年度の解析によりレジオネラによるRab5のユビキチン化が結果的にRab5のタンパク質量の減少、すわなちRab5のタンパク質分解を促進していることを示唆する結果を得た。一般的にユビキチン化による分解機構にはプロテアソームが寄与していることからレジオネラ感染と同時にプロテアソームの阻害を行なうとRab5の分解が抑制された。このことから、レジオネラはRab5をユビキチン化しプロテアソームを介した経路により分解していることを明らかにした。
レジオネラ感染に関与する小胞体サブドメインの同定
H26年度の解析によりCLIMP-63の発現抑制によりレジオネラの細胞内増殖が顕著に抑制されることを見いだした。CLIMP-63は小胞体の内側にスペースを作り出すスペーサータンパク質として機能することが知られていることから、レジオネラは小胞体での増殖においてCLIMP-63のスペーサー活性を利用していると推測した。そして、スペーサー活性を失ったCLIMP-63を発現している細胞ではレジオネラの増殖が顕著に抑制されることを見いだした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

交付申請書に記載した研究目的と照らし合わせてみて、26年度の研究はおおむね順調に進展していると判断した。その理由を以下に記載する。
『レジオネラ感染経路に関与するRabタンパク質の同定』のテーマでは、LCV上に集積されるRab6の生理的な意義とレジオネラ感染においてRab6がどのように寄与しているのかを明確にできた。『LCVのリソソーム融合阻害機能の解明』のテーマでは、レジオネラによって引き起こされるRab5のユビキチン化はRab5を分解に導くためのユビキチン化であることを証明し、LCVがリソソームへと輸送されることを遮断する分子メカニズムの理解に繋げられる結果であると考えている。『レジオネラ感染に関与する小胞体サブドメインの同定』のテーマでは、CLIMP-63と呼ばれる宿主の小胞体に存在し、小胞体の内側にスペースを供給する際に重要な役割を果たすタンパク質がレジオネラの増殖に必要であることを見いだした。レジオネラと宿主小胞体との関連には、これまで種々の説が提唱されているが、本結果はレジオネラと小胞体との関連に新しい知見を与える結果であると考えられる。

今後の研究の推進方策

レジオネラ感染経路に関与するRabタンパク質の同定
小胞体へと向かい経路にRab6が関わり、レジオネラはそのRab6の機能を利用して小胞体へと到達している可能性を見いだしたが、近年の研究によりRab6の機能をRab33bが制御している可能性が示唆されている。そこで、Rab33bのレジオネラ感染におけるRab6の機能に与える影響を解析する。
LCVのリソソーム融合阻害機能の解明
レジオネラ感染によってRab5がユビキチン化され最終的に分解されていることを明らかにした。一般的にユビキチン化にはE3ライゲースと呼ばれる酵素が基質にユビキチンを付加させる役割を担っていることから、レジオネラは何らかのE3様のレジオネラタンパク質(レジオネラエフェクター)を介してRab5をユビキチン化していることが想定される。そこで、Rab5のE3ライゲースとして機能するレジオネラエフェクターを同定する。
レジオネラ感染に関与する小胞体サブドメインの同定
レジオネラは最終的には小胞体で増殖するが、いまのところ小胞体のどの部分から侵入し、小胞体のどの部分で増殖するか等、レジオネラと小胞体の関連には不明な点が多く残されている。そこで、レジオネラが小胞体のどの部位から侵入するか、小胞体のどの部位で増殖するのかを種々の小胞体サブドメインマーカータンパク質とレジオネラとの関係を模索することで明らかにする。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Role for the ancient SNARE syntaxin 17 in regulating mitochondrial division.2015

    • 著者名/発表者名
      Arasaki, K., Shimizu, H., Mogari, H., Nishida, N., Hirota, N., Furuno, A., Kudo, Y., Baba, M., Baba, N., Cheng, J., Fujimoto, T., Ishihara, N., Ortiz-Sandoval, C., Barlow, L. D., Raturi, A., Dohmae, N., Wakana, Y., Inoue, H., Tani, K., Dacks, J. B., Simmen, T., and Tagaya, M.
    • 雑誌名

      Developmental Cell

      巻: 32 ページ: 304-317

    • DOI

      10.1016

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The machinery at endoplasmic reticulum-plasma membrane contact sites contributes to spatial regulation of multiple Legionella effector proteins.2014

    • 著者名/発表者名
      Hubber, A., Arasaki, K., Nakatsu, F., Hardiman, C.,Lambright, D., De Camilli, P., Nagai, H., and Roy, C. R.
    • 雑誌名

      PLoS Pathogens

      巻: 10 ページ: e1004222

    • DOI

      10.1371

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Valosin-containing protein-interacting membrane protein (VIMP) links the endoplasmic reticulum with microtubules in concert with cytoskeleton-linking membrane protein (CLIMP)-63.2014

    • 著者名/発表者名
      Noda, C*., Kimura, H*., Arasaki, K*., Matsushita, M., Yamamoto, A., Wakana, Y., Inoue, H., and Tagaya, M.
    • 雑誌名

      Journal of Biologicalchemistery

      巻: 289 ページ: 24304-24313

    • DOI

      10.1074

    • 査読あり
  • [学会発表] レジオネラ菌感染に関わるRabタンパク質の同定及びレジオネラ菌の小胞体定着化機構2015

    • 著者名/発表者名
      新崎恒平、川端美緒、加藤郁子、多賀谷光男
    • 学会等名
      第88回日本細菌学会総会
    • 発表場所
      岐阜
    • 年月日
      2015-03-26 – 2015-03-28
    • 招待講演
  • [学会発表] レジオネラ菌によるRab5ユビキチン化機構の解明2015

    • 著者名/発表者名
      川端美緒、加藤郁子、多賀谷光男、新崎恒平
    • 学会等名
      第88回日本細菌学会総会
    • 発表場所
      岐阜
    • 年月日
      2015-03-26 – 2015-03-28
  • [学会発表] レジオネラ菌は小胞体内での移行にRab4及びRab10を利用する2015

    • 著者名/発表者名
      加藤郁子、川端美緒、新崎恒平、多賀谷光男
    • 学会等名
      第88回日本細菌学会総会
    • 発表場所
      岐阜
    • 年月日
      2015-03-26 – 2015-03-28
  • [学会発表] レジオネラ菌の宿主小胞体への移行及び定着化の機構2014

    • 著者名/発表者名
      新崎恒平、川端美緒、野内優、多賀谷光男
    • 学会等名
      第87回日本生化学会大会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2014-10-15 – 2014-10-18
    • 招待講演
  • [学会発表] PGAM5によるDrp1の脱リン酸化へのSyntaxin17の関与2014

    • 著者名/発表者名
      須合真士、新崎恒平、堂前直、多賀谷光男
    • 学会等名
      第87回日本生化学会大会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2014-10-15 – 2014-10-18
  • [学会発表] 脂肪滴形成および3T3-L1の脂肪細胞への分化におけるsyntaxin 17の関与2014

    • 著者名/発表者名
      木村葉那、新崎恒平、茂刈寛史、谷佳津子、多賀谷光男
    • 学会等名
      第66回日本細胞生物学会大会
    • 発表場所
      奈良
    • 年月日
      2014-06-11 – 2014-06-13

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公開日: 2016-06-01  

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