研究課題/領域番号 |
26713021
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
閔 俊哲 静岡県立大学, 薬学部, 助教 (10453060)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ヒト爪 / 生活習慣病 / 境界病態検査 / 糖尿病 / 質量分析計 / 早期予防 |
研究実績の概要 |
生活習慣病境界病態での非侵襲的な早期予防・診断法の開発を目的として、新たな臨床検査試料としてヒト爪を用い、爪中極微量のアミン基を有する低分子代謝物を検出するため、本年度では高選択性・高精度をもつ質量分析計(MS)用標識試薬として、容易にプロトン化し、ポジティブイオン化モードにおいてSRM検出に有利な3級スルホニウム、4級ホスホニウム構造に着目し、荷電構造を有する新規誘導体化試薬4-CEBTPP、2-CEDPSを含む4種類の新規誘導体化試薬を開発した。また、既存の4級ホスホニウム構造を有する誘導体化試薬2種類を含めた6種類の誘導体化試薬を用い、モデルアミン類としてメチル化したバリン、セリン、フェニルアラニンと極性の高いモデル糖グルカミンを用い検出感度の比較を行った。いずれの新規MS誘導体化試薬は、荷電構造を導入したことによりMSでの検出が高感度になり、また、誘導体化により高極性のアミノ酸等の低分子代謝物を逆相系カラムに保持させることができた。その中でも新規合成した4-CEBTPPは、m/z 120の高強度なプロダクトイオンを与えることで、検出限界は0.3 amol~数fmolオーダーになり、高感度に検出することはもちろん、さらに、m/z 120の高強度なプロダクトイオンをモニタリングすることでアミン類の低分子代謝物を網羅的に検出が可能であることが示唆された。2-CEDPSについては、誘導体化試薬由来のm/z 186プロダクトイオンがロスする現象が見られ、ニュートラルロススキャンを用いることで、2-CEDPSに誘導体化された4種全てモデルのアミン類を良好に検出することができたため、ニュートラルロススキャン手法などを用いることで爪のマトリックス中に存在するアミン類代謝物を網羅的検出が可能となることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度では、ヒト爪に微量に存在するアミン類代謝物のMS用高選択・高感度誘導体化試薬として3級スルホニウム、4級ホスホニウムを母核とする4種類新規誘導体化試薬の開発に成功し、その有用性を検証することができた。以上のことから研究は概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は開発した誘導体試薬等を用い、ヒト爪中D,L-N-アセチルロイシンをはじめとするアミン類の光学異性体の高感度検出法を開発するとともに健康者、境界領域、糖尿病患者血中HbA1c値と爪中D/Lアミノ類低分子代謝物の相関性を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度のLC-MSのリース代は9月19日から発生し、日割りで計算したため、当初4月から計算したリース代が次年度使用額として発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
引き続き、平成27年度のLC-MSのリース代としての使用を予定している。
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備考 |
新聞記事: 「糖尿病爪の成分で診断」静岡新聞 朝刊 2014年5月31日(土曜日)p 21。
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