研究課題
本研究では、ポリグルタミンタンパク質に対する凝集阻害化合物の開発、および治療候補化合物を脳内に効率よくデリバリーするための汎用的手法の開発を行い、ポリグルタミン病に対する治療法開発を目指す。今年度は、前年度までに見出された血液脳関門透過性分子PTD-Aについて、さらなる検討を進めた。マウス心臓からPTD-Aをin situ brain perfusion法により灌流し、脳内移行性を評価したところ、脳実質中への高い移行が認められた。また、PTD-Aの脳内移行量は、PTD-Aの初期濃度に依存して増大し、今回検討した濃度域では脳内移行量の頭打ち(移行量の飽和)は見られなかった。このことから、PTD-Aは何らかのトランスポーターを介して脳内移行しているというよりは、むしろ別の機序により血液脳関門を通過しているものと考えられる。血液脳関門透過機序に関しては今後も引き続き検討していく予定である。一方、血管内皮細胞株を用いた検討から、今回使用した濃度域でのPTD-Aの細胞毒性はほとんど認められなかった。以上の検討から、本研究で見出されたPTD-Aは、マウスにおいて高い脳内移行性を有し、薬物の脳移行性キャリア分子としての応用が高く期待できるものと考えられる。現在、PTD-Aをマウスに末梢投与した後の全身分布や体内動態を検討している。また、脳内移行性に乏しい薬物とPTD-Aをコンジュゲートさせ、末梢投与により脳移行性改善が認められるかどうかについて検討を行っている。本研究課題に関連して、ポリグルタミン病に対する創薬についての総説を執筆しBrain Science誌に掲載された。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nature Chemistry
巻: 9 ページ: 751-761
10.1038/nchem.2779
Brain Science
巻: 7 ページ: E128
10.3390/brainsci7100128