研究課題/領域番号 |
26713033
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研究機関 | 独立行政法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
酒井 真志人 独立行政法人国立国際医療研究センター, その他部局等, その他 (40643490)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 糖尿病 / 遺伝子転写 / ヒストンアセチル基転移酵素 |
研究実績の概要 |
転写調節因子CITED2がヒストンアセチル基転移酵素(HAT)であるGCN5の機能を摂食サイクル依存的に調節し、肝臓の代謝関連遺伝子の発現を制御している可能性を考え、CITED2およびホルモン依存性のGCN5機能調節メカニズムについて検討した。 グルカゴンのセカンドメッセンジャーであるcAMPおよびCITED2の強発現が肝細胞のGCN5のアセチル化酵素活性に与える効果を、免疫沈降したGCN5の活性をin vitroで測定することで評価したところ、cAMPおよびCITED2によってGCN5のヒストンアセチル化活性は増加する一方で、PGC-1αアセチル化活性が減少した。GCN5の活性がCITED2およびホルモン依存性に調節されることが示唆されたため、次に、そのメカニズムの解析をおこなった。 その結果、① CITED2依存性にGCN5はPKAと相互作用していること、② 絶食時にはグルカゴンのセカンドメッセンジャーであるcAMPによって、CITED2依存性にGCN5と相互作用しているPKAが活性化し、GCN5がリン酸化されること、③リン酸化したGCN5のPGC-1αアセチル化活性は減少、ヒストンアセチル化活性は増加し、アセチル化の抑制によるPGC-1αコアクチベーター活性の増加とヒストンアセチル化の増加が協調的に絶食時の糖新生系酵素遺伝子発現を強く誘導することが明らかとなった。インスリンはCITED2とGCN5の相互作用を抑制する。今後インスリンがCITED2依存性のGCN5活性調節に与える効果をさらに検討予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
転写調節因子CITED2による摂食サイクル依存的な転写調節機構を明らかにするために、CITED2と相互作用するヒストンアセチル転移酵素であるGCN5の機能に着目して研究を進めた。その結果、CITED2がグルカゴン、インスリンといったホルモン依存性にGCN5機能を調節するメカニズムを明らかにしつつあり、順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、予定していたCITED2による摂食サイクル依存的な肝臓の転写調節機構の解析について大きな進展がみられた。そのため研究計画の変更の必要はなく、予定していた研究計画を推進していく。
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