転写調節因子CITED2がヒストンアセチル基転移酵素(HAT)であるGCN5の機能を摂食サイクル依存的に調節し、肝臓の代謝関連遺伝子の発現を制御している可能性を検討した。CITED2およびホルモン依存性のGCN5機能調節メカニズムについて解析し、① GCN5はCITED2依存性にPKAと相互作用すること、② 絶食時にはグルカゴンのセカンドメッセンジャーであるcAMPによって、CITED2依存性にGCN5と相互作用しているPKAが活性化し、GCN5 Ser275がリン酸化されること、③リン酸化GCN5によって絶食時の糖新生系酵素遺伝子発現が強く誘導されることが明らかとなった。 さらにGCN5-CITED2-PKAモジュールの生理学的・病態生理学的役割について解析した。GCN5はマウスの肝臓で絶食時にリン酸化された。また、肥満糖尿病モデルマウスである高脂肪食負荷マウス、db/dbマウスの肝臓ではGCN5 Ser275のリン酸化が亢進していた。db/dbマウスの肝臓でCITED2をノックダウンすることによってGCN5-CITED2-PKAモジュールの形成を阻害すると、GCN5のリン酸化は強く抑制され、db/dbマウスの肝臓における糖新生系酵素遺伝子の発現増加と高血糖が大きく改善した。以上の結果からGCN5-CITED2-PKAモジュールは糖尿病における肝糖新生の亢進の治療ターゲットとなりうることが示された。
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