研究実績の概要 |
恒常的な血球産生には骨髄において造血幹細胞の維持・増殖・分化は不可欠である。当研究は成熟血球である巨核球に焦点を当て、巨核球のニッチとしての作用及び造血幹細胞からの巨核球の分化の解明を目的としている。申請者はこれまで、巨核球が造血幹細胞を制御し、特にCLEC2分子に焦点をあて、報告した(Nakamura-Ishizu et. al., BBRC, 2014)(Nakamura-Ishizu et. al., JEM, 2015)。具体的には巨核球特異的CLEC2マウスを解析し、CLEC2による巨核球のニッチ機能のBroadな低下により、造血幹細胞の幹細胞機能の低下をきたしていることを提唱した。これに引き続き、昨年度はCLEC2のリガンドであるポドプラニンの造血における役割を解析した。ポドプラニンの骨髄内での発現をフローサイトメトリー、qPCR、免疫組織染色にて確認し、ポドプラニンが骨髄内の骨芽細胞及び間葉系幹細胞に発現していることを認めた。本年度は骨芽細胞特異的ポドプラニン欠損マウス、間葉系幹細胞特異的ポドプラニン欠損マウスを飼育し、その造血組織の解析をすすめた。また、造血幹細胞からの巨核球分化の詳細なメカニズムを解析するため、シングルセルレベルでの造血幹細胞の分化状態を遺伝子発現解析、単一細胞の培養、競合的造血幹細胞移植により検証した。これらの解析にて骨髄における巨核球と造血幹細胞の関係性についてより深い理解を得たいと考えている。
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