研究実績の概要 |
ERAP1はベーチェット病、乾癬、強直性脊椎炎などの脊椎関節炎の疾患感受性遺伝子としてゲノムワイド関連解析(GWAS)によって同定され、さらにHLA-Class Iとの遺伝子相互作用を認めることから、ERAP1-HLA-Class I経路が脊椎関節炎の治療標的として有望である。この遺伝学の先行研究を受けて、本研究ではまずトルコ人ベーチェット病GWASデータを用いたERAP1 R725Qを含むアロタイプ解析を行った。結果Hap10というERAP1の349、528、575、725、730番目のアミノ酸置換を伴う型がベーチェット病のリスクであることを同定した。また、Hap10ホモかつHLA-B51を保有すると、ベーチェット病発症のオッズ比が10.96と高値になることを示した(Takeuchi, Kirino et al, Ann Rheum Dis, 2016)。さらにこのヒト型アロタイプを含む遺伝子組み換えマウスを作成すべく、ERAP1欠損マウスを作成した。このマウスにプラスミド作成、ES細胞への導入、CRISR-Cas9を用いた導入を行い、現在。現在Hap10ノックインマウスを作成中である。本研究期間で実際のphenotype解析には至らなかったが、今後マウスが完成次第解析を行う。またHLA-B51ノックインマウスも作成段階であり、これをHap10 ERAP1ノックインマウスと掛け合わせてベーチェット病の表現型が出現するか検討する予定である。 さらにベーチェット病のGWASで同定されたCCR1, IL10という2つの遺伝子座に関してヒト末梢血由来マクロファージを用いたe-ATL解析を行った。その結果M2マクロファージにCCR1/IL-10にeQTL効果を見つけた(Nakano, Kirino et al, Arthritis Res Ther, 2018, in press)。
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