研究課題/領域番号 |
26713038
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
松岡 悠美 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10402067)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 細菌 |
研究実績の概要 |
本研究では、1.S.aureusのクオラムセンシングによるd-toxin産生機構の解析、2.宿主側のd-toxinレセプターの同定、及び3.クオラムセンシング抑制薬剤のスクリーニングを行い、次に4.確立したマウスモデルで実際に皮疹発症を予防する事が可能か検討を行うという3点について検討を行う。最終的にはアトピー性皮膚炎の新規発症予防の開発に繋がる基礎になると考えている。特に本年度は3.と4.にフォーカスを当て研究を行った。 3.ミシガン大学では、FDA承認済みのcompound library を用いて Gabriel Nunez教授がS.aureusにおけるRNAⅢの発現制御に有効な薬剤スクリーニングをS.aureus P3_lux株を用いてすでに行い有効な薬剤を同定した。同定した薬剤のうちすでに既存の外用剤の中に配合されているものを候補として挙げ、更に現在マウスモデルでの効果を検討している所である。 4.Th17サイトカインの誘導機構の解析に重点を置き、MyD88-/-マウス、MyD88分子を表皮細胞特異的に欠損するK14CreMyD88f/fマウス、Il1r-/-、Tlr2/4-/-についてもノックアウトマウスを用いて解析を行った。皮疹の発症はMyD88-/-マウスとK14CreMyD88f/fマウスでは野生型に比較して劇的に症状が抑制された。一方、細菌の認識に重要なMyD88の上流分子の欠損マウスであるTlr2/4-/-マウスでは野生型と特に差は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.S.arureusのクオラムセンシングによるd-toxin産生機構の解析:現時点で使用した遺伝子改変マウスにおけるd-toxinの発現様式は野生型と比較して異差は検出されていない。2.宿主側のd-toxinレセプターの同定:Gangliosideにより、肥満細胞へのシグナルが阻害されることが明らかとなったので競合的に結合している可能性を考えている。今後更に詳しく計画書に沿って検討を行っていく。3.ミシガン大学では、FDA承認済みのcompound library を用いて Gabriel Nunez教授がS.aureusにおけるRNAⅢの発現制御に有効な薬剤スクリーニングをS.aureus P3_lux株を用いてすでに行い有効な薬剤を同定した。同定した薬剤のうちすでに外用剤の中に配合されているものを候補として挙げ、更に現在マウスモデルでの効果を検討している所である。4.Th17サイトカインの誘導機構の解析に重点を置き、MyD88-/-マウス、MyD88分子を表皮細胞特異的に欠損するK14CreMyD88f/fマウス、Il1r-/-、Tlr2/4-/-についてもノックアウトマウスを用いて解析を行った。皮疹の発症はMyD88-/-マウスとK14CreMyD88f/fマウスでは野生型に比較して劇的に症状が抑制された。一方、細菌の認識に重要なMyD88の上流分子の欠損マウスであるTlr2/4-/-マウスでは野生型と特に差は認められなかった。 これらの進捗状況はおおむね順調であると言える。また、研究協力者のGabriel Nunez先生とも定期的にテレビ電話会議を行っており、今後の研究計画についても綿密に話し合っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後はマウスモデルで得られた結果を基に、表皮角化細胞におけるMyD88シグナルの上流、下流を更に詳しく培養角化細胞を用いたり、マウスモデルを更に用いて検討することで明らかにする。この分野の検討を最優先で行う予定である。MyD88シグナルの同定にあたってはかずさDNA研究所の小原収先生と緊密に連絡を取り、今後RNAseqを行う予定である。創薬スクリーニングによって得られた薬剤のマウスモデルにおける至適濃度を今後更に検討し、生体での効果があるかどうかを検討していく。研究推進にあたっては、研究協力者と綿密に内容について検討を行いながら推進していく。
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