研究課題/領域番号 |
26713041
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
水田 賢志 長崎大学, 医歯薬学総合研究科 (薬学系), 助教 (50717618)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 放射線科学 / PET |
研究実績の概要 |
当該年度に計画していたトリフルオロメチルラジカル"CF3・" を反応活性種とする[18F]トリフルオロメチル化反応を行うにあたり、まずcold実験における条件検討を行った。インドール誘導体を基質として、ClCF2CO2Me,フッ化銀(AgF)とNaIの存在下、120℃で反応を行ったところ、目的とするトリフルオロメチル化体を観察することは出来なかった。また、Ag塩の代わりに、Cu,PdおよびNiなど様々な金属種を用いたが、いずれも望まれる結果を得られなかった。視点を変えて、迅速なフッ素化反応により、トリフルオロメチル官能基を構築する方法に取り組んだ。基質および条件の詳細を調査したところ、フッ素化反応を通じて効率的にトリフルオロメチルチオ化合物が得られる条件を見出した。具体的には、ブロモジフルオロメチルスルフィド化合物が銀(I)塩と混合することで、カルボカチオン中間体を形成し、系中に存在するフッ化カリウムによる求核的フッ素化反応が20分で進行することを見出した。トリフルオロメチルスルフィド及びトリフルオロメチルエーテルは、医農薬で多く見受けらる官能基であり、これらはPETトレーサーとして重要な標的アナログである。現在、cold実験において、ヘテロ環、脂肪鎖置換トリフルオロメチルスルフィド化合物が得られることが分かっている。同様の条件で、フッ素化反応によるトリフルオロメチルエーテル基の構築法も検討している。更に、アルツハイマー診断薬を目指して、Riluzoleの標識化にも取り組んでいる。当該年度に購入したuplc,RI検出器を用いた分離条件の検討も実施しており、27年度に、[18F]KFを用いたhot実験に移行する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
協同研究先のサイクロトロンを所有する病院機関が、法律上の手続きに時間を要しており、、当該年度に予定してたhot実験が手つかずにいる。hot実験研究が出来るように、原子力規制委員へ申請する段階にある。cold実験では、当初の目的通り、[18F]CF3標識化合物のモデル反応をすでに確立しているので、実験自体は順調に進んでいるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
上述のように、協同研究先の病院機関が、原子力規制委員に申請し、承認されるまでに数カ月かかる予定である。その間、[18F]CF3標識化合物の合成に資する反応開発および試薬開発を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
協同研究先のサイクロトロンの実験的な利用申請が遅れており、本年度はPET用試薬の購入を必要としなかったため、次年度に回すこととした。
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次年度使用額の使用計画 |
PET用試薬及び反応開発に必要とする試薬の購入を予定している。
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