研究課題
本研究の目的は、食道癌のがん代謝に関与するepigenomic biomarker について探索することである。がんに特徴的な代謝メカニズムを明らかにすることは、新たながん治療のターゲットの発見に繋がる可能性がある。まず、LSD1の食道癌代謝における役割を検証した。SiRNAで食道癌細胞株におけるLSD1の発現レベルを抑制すると、癌浸潤能が低下した。また、細胞外フラックスアナライザーを用いて、細胞内のがん代謝プロファイルを検証したところ、LSD1は解糖系の指標であるECAR、ミトコンドリア呼吸の指標であるOCRの変化に寄与することが分かった。これらの結果をInternational Journal of Cancer誌に投稿し、採択された。また、消化器癌におけるepigenetic 変化の発癌における重要性についての総説を執筆し、Cancer letters誌に採択された。次に、CNC転写因子ファミリーに属する強力な転写活性化能をもつ転写因子であるNrf2に注目した。Nrf2高発現株にsiRNAを用いてNrf2をknockdownさせると、ペントースリン酸経路の主要酵素であるG6PDとTKTの発現は低下し、細胞外フラックスアナライザーにて解糖能が増加することを確認した。また高発現株のNrf2 knockdownにて増殖能が低下することをGrowth assayで確認し、フローサイトメトリーにてG0/G1 Cell cycle arrestを認めた。さらにこれらの変化はp38MAPK活性化を介した増殖能の変化であることが分かった。またNrf2 knockdownにてROS活性は増加し、それに伴いアポトーシスが増加することを確認した。食道癌においてNrf2が代謝リプログラミングを制御し、がんの増殖に関与していることが示され、現在癌関連のtop journalに投稿中である。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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