研究課題/領域番号 |
26713044
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
野口 亮 佐賀大学, 医学部, 助教 (70530187)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 心筋再生 / 再生医療 / 組織工学 / ヒト幹細胞 |
研究実績の概要 |
我々は、古典的細胞凝集現象であるスフェロイドを用いて、心筋再生を目指してきた。スフェロイドは心筋以外にも線維芽細胞や血管内皮細胞などと様々な細胞を任意の比率で配合することにより、より機能的なスフェロイドを作製することが可能であり、前年度ではヒト皮下線維芽細胞および血管内皮細胞の比率を変更することにより、スフェロイド作製後の拍動開始までの日数や拍動維持日数が異なることを報告した。 心筋細胞と配合する線維芽細胞の評価を行った。ヒト人工多能性幹細胞(HiPS)由来の心筋細胞にヒト心室筋由来の心臓線維芽細胞(NHCFB)とヒト皮下線維芽細胞(NHDFB)をそれぞれ40%の比率で配合し、拍動数と収縮率のスフェロイド形成1ヶ月後までの経時的評価を行った。そして、収縮率はスフェロイド周囲の任意の6点を選び、動画解析ソフトを用いて、その6点を追尾することにより評価した。 結果は両群が拍動を開始してから3週間目までの平均拍動数および収縮率はそれぞれ以下の通りであった(図1、2)。少なくとも拍動数と収縮率に限れば、線維芽細胞によってスフェロイドの動態には大きな影響はしないものと思われた。従って、ヒト線維芽細胞の選択に関しては、パラクライン因子などの細胞より分泌されるサイトカインや成長因子などによる違いや細胞外マトリックス産生の違いによるグラフト形成能の相違により選択していく必要があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
ヒト幹細胞由来心筋細胞はこれまで我々が扱ってきた、ラット胎児心筋細胞やmouseES細胞由来の心筋細胞と比較し、拍動した心筋組織型スフェロイドを形成しにくく時間を要した。また最適化にも時間がかかっている。 自ラボでiPS細胞からの心筋分化、選別を試みたが手技が難しく、効率も悪いため、業者から直接購入する手法がよいと思われた。
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今後の研究の推進方策 |
ヒトiPS細胞由来心筋細胞で構築したスフェロイドをさらに3次元化させた構造体の動物への移植報告は少なく、我々の知財である複数種類の細胞を混合して3次元化させる構造体を来年度には作成し移植実験へもっていきたい。
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