研究課題
現在、骨軟部腫瘍に対して広く用いられているドキソルビシン、および分子標的治療薬に対して、薬剤耐性を示す細胞株の作成を行った。おもな骨軟部腫瘍由来の細胞株である滑膜肉腫細胞株、脂肪肉腫細胞株、悪性末梢神経鞘腫瘍細胞株などを用い、細胞株への薬剤の反復投与を行い、それぞれの薬剤に対して抵抗性を示す細胞株の樹立を行った。さまざまな細胞株と薬剤の組み合わせで実験を行い、いくつかの組み合わせで薬剤耐性骨軟部腫瘍由来細胞株の樹立に成功した。なお、新規薬剤耐性株の樹立に向け、実験を継続的に行っている。樹立された薬剤耐性骨軟部腫瘍由来細胞株を用いて、同一の細胞株で薬剤耐性獲得前の細胞株と薬剤耐性獲得後の細胞株において、それぞれにおける遺伝子およびタンパクの網羅的発現解析を行い、薬剤耐性に関与する遺伝子およびタンパクのか分析を行った。同解析にて複数の候補分子が同定され、その中から新規性のある分子、過去に薬物耐性への関与が報告されている分子など注目すべき分子を選択し、複数の候補分子について、より詳細な解析を行っている。細胞株での実験結果と実際の臨床データ、すなわち、検体(腫瘍切除標本)での遺伝子・タンパク発現と抗がん剤の臨床効果の関連性を検証することを念頭に、所有する臨床検体に対応する症例について薬剤感受性および耐性に関するデータ収集を行った。その一部につき、データをまとめ、学会発表を行った。
1: 当初の計画以上に進展している
薬剤耐性骨軟部腫瘍由来細胞株の樹立に関して、当初、実現可能性が危惧されたが、さまざまな組み合わせで抗がん剤と細胞株を用いて実験を行ったことも幸いし、いくつかの組み合わせで薬剤耐性細胞株の樹立に成功することができ、研究をスムーズに開始することができたため。
樹立された薬剤耐性骨軟部腫瘍由来細胞株を用いて、その薬剤耐性獲得に関与する分子の同定を試みた実験を継続する。遺伝子レベル、およびタンパクレベルでの網羅的発現解析によりピックアップされた分子について、その発現の再確認や分子生物学的役割について詳細に検討を行う。また、基礎実験データと臨床データの相関性の検証のため、臨床データの収集・解析を継続する。
当初予定していた実験用物品の購入が不要となったため。
実験用物品の購入ではなく、アウトソーシングにより同様の研究を行う予定であり、その費用に用いる予定である。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件)
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