研究実績の概要 |
昨年度、英文雑誌に発表した、滑膜肉腫のパゾパニブ耐性株を用いた薬剤耐性メカニズムの解析研究(Yokoyama N, Matsunobu T, Matsumoto Y, Fukushi J, Endo M, et al. Sci Rep. 2017)を発展させ、現在、CIC肉腫細胞株(Oyama R, Takahashi M, Yoshida A, Sakumoto M, Takai Y, Kito F, Shiozawa K, Qiao Z, Arai Y, Shibata T, Araki Y, Endo M, et al. Sci Rep. 2017)を含む他の骨軟部腫瘍の細胞株を含めた薬剤耐性株の作成を進めている。そのなかで、脂肪肉腫細胞株 、悪性末梢神経鞘腫瘍細胞株などの細胞株への薬剤の反復投与を行い、複数の薬剤耐性骨軟部腫瘍由来細胞株の樹立に成功した 。 樹立された薬剤耐性骨軟部腫瘍由来細胞株を用いて、薬剤耐性獲得前の細胞株と薬剤耐性獲得後の細胞株において、それぞれにおける遺伝子およびタンパクの網羅的発現解析を行い、薬剤耐性に関与する遺伝子およびタンパクの分析を行った。その研究成果の一部は、現在、英文雑誌に投稿中である。そのほか、薬剤耐性に関与する低酸素誘導因子であるHIF1αが高悪性度軟部肉腫の一つである悪性末梢神経鞘腫瘍で予後不良因子であり、治療標的となり得ることを英文雑誌に発表した(Fukushima S, Endo M, et al. Plos One. 2017)。なお、薬剤耐性株の作成ならびに薬剤耐性メカニズムの解析は継続的に行っている。
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