研究課題
骨細胞の機能障害は骨粗鬆症を引き起こすことが知られていることから、骨細胞は新たな骨粗鬆症治療のターゲットとなる可能性を秘めている。本研究では、骨細胞におけるRAS系に着目し、その機能解析を通して、新規骨形成促進骨粗鬆症治療薬の開発を目指し検討を行った。骨細胞特異的にRAS関連遺伝子の欠損マウスでは、皮質骨の有意な骨量増加が認められた。骨形態計測による解析では、外骨膜面における骨芽細胞による骨形成が著しく亢進していることが明らかとなった。骨細胞特異的RAS関連遺伝子欠損マウスでは、野生型と比較して、皮質骨での骨形成ならびに骨吸収マーカーの発現が亢進しており、加えてSostの発現が低下していた。標的遺伝子を同定するために、皮質骨由来RNAを用いて、次世代シークエンサーによるRNAの網羅的発現解析を行い、候補遺伝子を数種類同定した。In vitroにおいてRAS関連遺伝子を恒常的にノックダウンした骨細胞株を樹立し、骨細胞、骨芽細胞分化を検討した結果、これらの分化には影響は認められなかった。さらに、骨芽細胞特異的膜タンパク質欠損マウスを作成し、骨の表現型を、マイクロCTを用いて解析した結果、野生型マウスと差は認められなかった。これらの結果から、骨組織における標的膜タンパク質の影響は、骨細胞特異的であり、骨芽細胞および骨細胞分化には影響しない可能性が示唆された。現在詳細なメカニズムを明らかにするとともに、これらの成果をまとめ論文投稿準備中である。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件)
EBioMedicine
巻: 18 ページ: 118-127
10.1016/j.ebiom.2017.03.011.
J Bone Miner Res.
巻: 32 ページ: 872-881
10.1002/jbmr.3053.
巻: 31 ページ: 1344-55
10.1002/jbmr.2803.
PLoS One.
巻: 11 ページ: e0162794
10.1371/journal.pone.0162794.