様々な生命現象は力学的環境に密接に関係しており、生体の組織や細胞はメカニカルストレスを感知・情報伝達し機能的な応答反応によって環境に適応できるように自らを調節・再構築している。本研究ではメカニカルストレスによる骨を含めた運動器の応答とそれら による免疫機能制御に関して焦点をあてる。メカニカルストレス負荷・不動化・筋萎縮モデル等での骨構成細胞を含む運動器のトランスクリプトーム・プロテオーム解析や遺伝子改変マウス作製等により、運動器による免疫制御機構を解明する。本年度までに筋肉特異的遺伝子欠損マウスで筋芽細胞生存率の著しい低下を引き起こさせ、加齢とともに筋肉量が急激に減少するメカニカ ルストレス免荷モデルを構築し、メカニカルストレスの軽減に伴う顕著な骨量低下も確認した。本モデルは運動器と免疫系のネットワーク恒常性と破綻メカニズムを生体レベルで解析する有効な実験系であると考えられる。また、自発的なレジスタンストレーニングを評価するメカニカルストレス負荷システムとして、マウス専用クライミング運動負荷システムを構築し、適切なトレーニング期間の条件検討の結果、筋肉量の増加とそれに伴う骨量増加を確認したのち、それらのマウスから筋、骨芽細胞を多く含む画分、骨細胞を多く含む画分を採取した。さらに、それらのトランスクリプトーム解析を行い、骨や筋肉の細胞においてメカニカルストレスに よって発現変動する遺伝子の絞り込みを試みた。さらに、in vitroで伸展刺激した骨細胞株のトランスクリプトーム解析も行い、多面的な解析を実施した。
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