研究課題/領域番号 |
26713054
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大庭 伸介 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20466733)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ヘッジホッグ / 骨形成 |
研究実績の概要 |
1. Hh-Gli誘導性の骨形成性細胞への運命決定期の細胞の同定・取得・分子特性の解析 標記の運命決定がなされる段階の細胞においてChIP-seq・RNA-seq解析を行うために、この細胞集団を同定・単離し、その分子特性を解析することが目的である。マウス胎仔からの単離を目指したが、解析可能な量の取得が困難であることも予想されたため、多能性幹細胞からのHh誘導性骨分化誘導系の利用も試みた。 A) マウスにおける標的細胞の同定・取得:Hh-Gli誘導性に骨形成性細胞への運命決定が行われている細胞集団を時期特異的に取得するために、タモキシフェン(Tam)投与に応じてHh受容細胞がレポーター蛋白を発現するノックインマウスに対して、胎生10.5-11.5日齢でTamを投与し、24時間後にレポーター蛋白発現細胞を酵素処理により軟骨膜から採取することを試みた。しかしながら、十分な量の細胞の採取が困難であった。
B) 胚性幹細胞(ES細胞)の骨芽細胞分化系における標的細胞の同定・取得と分子特性の解析:無血清培地下で低分子化合物のみを用い、中胚葉分化を経由してマウスES細胞からHh誘導性に骨芽細胞へと分化させる培養法の開発に成功した。この分化系において、骨形成性転写因子Runx2とHh-Gli経路の標的遺伝子Gli1のmRNA発現を定量的RT-PCR法により時系列で解析した結果、Runx2とGli1の発現上昇期が存在することが判明した。マイクロアレイによる遺伝子発現プロファイルにおいても、この所見は支持されたことから、この時期をHh-Gli誘導性の骨形成性細胞への運命決定期として、ChIP-seq・RNA-seq解析に使用できることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究が標的とする細胞(Hh-Gli誘導性の骨形成性細胞への運命決定期の細胞)を、マウスから採取することは困難であることが判明したものの、その代替法として計画していた胚性幹細胞(ES細胞)の骨芽細胞分化系において、標的細胞の同定と取得に成功した。したがって、研究はおおむね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ES細胞の骨芽細胞分化系から採取した標的細胞においてChIP-seqを行うことで、Gliの結合プロファイルとエピゲノム変化を追跡していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していたマウスからの細胞採取が困難であることが判明し、in vitroにおける細胞採取とその解析が主となった。そのため、当初予定していた実験補助員の雇用の必要がなくなったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、大規模な網羅的解析を予定しているため、新たに実験補助員を雇用する。その雇用経費と網羅的解析の遂行に必要な消耗品の経費にあてる。
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