研究課題
前年度までに開発したマウス胚性幹細胞(ES細胞)から、中胚葉分化を経由してHh誘導性に骨芽細胞へと分化させる培養系において、Gliに対するChIP-seqと遺伝子発現プロファイルを得るためのRNA-seqを試みた。ChIP-seqのための予備検討として、Rosa26-Gli1-FLAG、Gli2-Biotin-FLAG、FLAG-Biotin-Gli3ノックインES細胞を上記の骨芽細胞分化系で培養し、Hhシグナル誘導性に骨形成性細胞への運命決定が起こるポイントにおいてクロマチンを回収して、FLAG抗体を用いたChIPを行った。Hhシグナルの標的遺伝子であるPtch1とGli1遺伝子周辺における既知のGli結合領域へのエンリッチメントをPCRにより判定したところ、各Gliの結合が確認された。しかしながら、次世代シーケンサーを用いて精度の高いデータを得るためには、より効率の高い分化系とChIPプロトコールの最適化が必要であると考えられた。そのため、再度分化系の最適化を行うと同時に、ChIPプロトコールの最適化も行った。最適化された培養系において、複数のタイムポイントにおいてRNA-seqを行い、時系列で遺伝子発現プロファイルを取得することに成功した。RNA-seqデータの一次解析により、高品質なデータを取得したことが確認された。また、発現遺伝子の解析から、継時的に骨分化が進行していることが示唆され、骨芽細胞分化の各段階を反映したデータとして以後の解析に使用できることが確認された。ChIPプロトコールの最適化も終了し、Gliおよび各種ヒストン修飾に対するChIP-seqについても予備検討が終了しつつある。
2: おおむね順調に進展している
H27年度までに、生理的な骨形成を反映した胚性幹細胞からの骨芽細胞分化系を確立し、この分化系においてChIP-seqおよびRNA-seqを試みた。培養系の確立に当初の計画よりも時間がかかっているものの、RNA-seqのデータ取得は完了し、ChIP-seqの予備検討まで終了していることから、進捗に大きな遅れはないと考えられる。
引き続き、当初計画の通りにChIP-seqデータの取得及び統合的解析を行う予定である。
予備検討に時間を要し、ChIP-seqデータの取得に至らなかったため。
ChIP-seqデータの取得のための物品費として使用する計画である。
すべて 2015 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 4件、 招待講演 4件) 備考 (1件)
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