研究課題/領域番号 |
26713054
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大庭 伸介 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20466733)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ヘッジホッグ / 骨形成 |
研究実績の概要 |
本年度は、ヘッジホッグ(Hedgehog-Hh)シグナル誘導性の骨形成性細胞への運命決定における、Hhシグナル下流の転写因子Gliのゲノム標的を明らかにすることを目指した。マウス胚性幹細胞(ES細胞)の骨芽細胞分化系(Stem Cell Reports, 2014)を用いて、Gli-Biotin-FLAGノックインES細胞を培養し、骨芽細胞への分化を誘導した。本培養系では、まず5日間の培養で中胚葉系へ分化させ、その後骨芽細胞前駆細胞を誘導する。上記のノックインES細胞の培養においても培養5日目までに中胚葉への分化が認められ、培養12日目に骨形成性転写因子Runx2とHhシグナル標的遺伝子Ptch1の発現上昇を確認できたことから、培養12日目がHh誘導性の運命決定が起こるポイントであると考えられた。そこで、まずGli-Biotin-FLAGノックインES細胞の培養系において、培養12日目においてクロマチンを回収し、FLAG抗体を用いたChIPと次世代シーケンサーを用いたChIP DNAの配列解析(ChIP-seq)を行った。その結果、Gliのゲノム上の結合領域として約1000領域を同定した。得られた領域に対して、GREAT(Genomic Regions Enrichment of Annotation tool)解析を行ったところ、Gli結合領域の大部分が遺伝子から5 kb以上離れて存在していた。以上より、Gliのゲノム標的の主体はエンハンサー領域であることが示唆された。この中で、運命決定前後でGliの結合が変化する領域の同定を試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年までに取得したRNA-seqデータに加え、GliのChIP-seqデータの取得に成功し、そのバイオインフォマティクス解析により新たな知見を得た。さらに、本研究の目的である運命決定前後でGliの結合が変化する領域の同定への道筋を得つつある。
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今後の研究の推進方策 |
バイオインフォマティクス解析を継続し、Gliによる転写ダイナミクスと遺伝子制御ネットワークのモデルを構築し、その検証を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
ゲノムワイドデータ取得後にバイオインフォマティクス解析が主体となり、実験試薬や実験器具の購入にかかる費用が抑えられたため。
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次年度使用額の使用計画 |
H28年度までに得られた結果の再現実験のための物品費、及び学会における成果発表と論文の作成・投稿のための費用に使用する。
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