より実現しやすいクラウド量子計算についての研究を行った。1量子ビット測定しかできないような検証者に対し、任意の量子計算が実現できる証明者がおり、量子ビットを通信することにより、任意の量子計算をサーバー上で行う。量子計算の内容はサーバーには秘密に行うことができ、しかも、サーバーが正しい量子計算を行っているかどうかの検証も可能である。本研究では、グラフ状態のスタビライザーをチェックするという方法を用いることにより、1量子ビットしか測定できない検証者でも、計算の正しさをチェックできる方法を開発した。また、実際にノイズがあるような状況下でも、誤り訂正符号を使うことにより、正しい量子計算は実現できるようなグラフ状態に対しても、パスするようなテストを提案し、それにより、実際は正しい状態を送っているにもかかわらず、通信路のノイズにより、少しグラフ状態からずれてしまうために、検証者に受理されないような状況が無い様にした。悪意のある証明者が、大幅に異なる状態を送ってくる場合には、きちんと、それが正しい状態でないことを判定できるようになっている。また、この結果を応用して、IQPなどの、Quantum supremacyをデモンストレートするような場合に対しても、検証つきで行う方法などを開発した。IQP回路の出力状態は、ハイパーグラフ状態というものになっているが、ハイパーグラフ状態についても、状態の正しさを検証できるようなスタビライザーテストを考案し、それにより、ハイパーグラフ状態の検証も、1量子ビットの測定のみで実現できるようにすることができた。
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