研究課題/領域番号 |
26730005
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
東藤 大樹 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 助教 (50708394)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ゲーム理論 / メカニズムデザイン / アルゴリズム設計 / ダミー入力 |
研究実績の概要 |
個人配分問題の例として取り上げたマッチングに関して,その特殊ケースである物々交換モデルに限定して議論を行った.各ユーザが複数の非分割財を保有する物々交換において,パレート効率性と個人合理性を満足する範囲では,厳密な意味でダミー入力への耐性を有するアルゴリズムが存在しないことを示した.さらに,よく知られたTop-Trading-Cycles (TTC) アルゴリズムの単純な拡張のもとで,ダミー入力を含む操作によってユーザが効用を増加できるか否かの判定問題がNP-completeであることを示した.すなわち,TTCを拡張したアルゴリズムのもとで,効果的なダミー入力の発見は計算困難である.この研究成果は,人工知能分野の国際会議AAAI-15にてフルペーパーとして採択され,口頭発表としても採択された. 社会的決定問題の例として取り上げた施設配置に関しては,直線上に2つの同質な施設を配置するモデルに限定して議論を行った.各ユーザが高々1つの施設にアクセスするという仮定のもとで,パレート効率性と匿名性を満足する範囲において,厳密な意味でダミー入力への耐性を有するアルゴリズムの出力結果を特徴付けることに成功した.本研究成果は現在国際会議IJCAI-15に投稿中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マッチングに関しては,特殊ケースである物々交換モデルに制限しているものの,制限した範囲では,ダミー入力への耐性の緩和および緩和した耐性を満足するアルゴリズムの設計に成功している.さらに,従来のメカニズムデザイン分野における物々交換アルゴリズムとの関連・差異を明確に出来たことは,初期の想定以上の研究成果だと考える. 施設配置に関しても,2つの施設の配置という異なるモデルではあるが,耐性を満足する決定性アルゴリズムの出力結果を特徴付けることができた.これは,社会的選択の分野においては,当初の研究計画に記載した乱択アルゴリズムの設計以上に重要な研究成果である.
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今後の研究の推進方策 |
今年度に得た研究成果を拡張するとともに,マッチングに関して2部マッチングアルゴリズムの考察,施設配置に関しては乱択アルゴリズムの設計という,申請書記載の研究課題に引き続き取り組む.さらに,ソーティングや投票などの類似した例題への,提案したアルゴリズムや概念の応用可能性を探る.
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次年度使用額が生じた理由 |
国際会議AAAI-15出張時のWi-Fi端末のレンタル料を計上していたが,会議場にて十分な通信速度の無線ネットワークが提供されることが予め判明し,端末のレンタルを取りやめたため.
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次年度使用額の使用計画 |
本年度購入したPC (Lenovo ThinkPad X1 Carbon) の操作性向上のため,USB接続用マウスを購入する.
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