研究課題/領域番号 |
26730014
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
廣瀬 善大 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 助教 (10637391)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 統計的決定理論 / 統計的予測 / 条件付き正規化最尤分布 / 情報幾何 |
研究実績の概要 |
昨年度から引き続き,統計的予測の問題において,統計的決定理論の観点から条件付き正規化最尤分布と条件付きリグレットの性質を調べる作業を行った.条件付き正規化最尤分布について,以前は過去の観測値に依存した評価尺度により予測分布(条件付き分布)としての良し悪しを評価したが,今年度は過去の観測値に依存しない平均的な性質についての評価を行った.観測値を固定して評価する場合と同様,カルバック・ライブラーリスクについて条件付き正規化最尤分布を優越する分布の存在が理論的に分かった.幾何学的には射影に対応するものであり,統計学的にも特徴づけを行うことのできる確率分布である.対象とした統計モデルは具体的な統計モデルと一般的な統計モデルである.ただし,一般的な統計モデルにおいてもいくつかの仮定をおいた上での議論であったため,それらの仮定を外した場合について調べるのは今後の課題である. なお,統計的予測において評価尺度をカルバック・ライブラーリスクとした場合,条件付き正規化最尤分布を優越する予測分布の存在は,異なる文脈において最適な条件付き確率分布として得られたという条件付き正規化最尤分布の出自から見て,起こり得ることである.また,ベイズ統計の観点からも,条件付き正規化最尤分布を優越する予測分布が存在することは不思議ではない.ここで重要なのは,条件付き正規化最尤分布やそれに関係する諸予測分布の関係を解明していくことであり,本研究はその一端を担っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
一般的な統計モデルにおける条件付き正規化最尤分布の性質を確認する作業を行ったが,具体的なモデルの場合と異なり,評価が難航した.そのため当初予定していたよりも進捗が遅れている. また,スケジュールの都合で,発表を予定していた国際学会に参加できなくなってしまったため,情報発信の面でやや遅れた.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き一般的な統計モデルにおける条件付き正規化最尤分布の性質を調べるが,具体的なモデルにおける調査も行う.これまでは確率分布そのものを具体的なモデルとして採用することが多かったが,統計的な問題から導入される特殊な構造を統計モデルに取り込むことで,より広く評価を行っていく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
出張等には利用できない少額であったため.
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次年度使用額の使用計画 |
国際学会参加のための旅費,あるいは書籍購入にあてる予定である.
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