スプライン回帰推定量の理論的性質と応用について議論した。まず、高次元モデルにおいて欠測を含む場合のスプライン推定量の漸近的性質を示した。欠測データ分析で重要であるHorvitz-Thompson propertyと呼ばれる分散に関する性質も議論している。この成果は論文にまとめられ、国際ジャーナルから出版された。 次に、パラメトリックモデルの誤差推定をスプラインと高次元スパース推定を融合させることで実現した。これは想定したパラメトリックモデルが真に正しいものであるか判定する方法で、モデルが真にデータ構造を捉えることができている場合、スパース性からスプライン推定量が0と推定される。逆にモデルがデータに当てはまっていない場合はスプライン推定量がその誤差を推定し、パラメトリックモデルが不適合な部分をスプライン推定量で補正する動きを見せる。提案された手法のオラクル性に相当する漸近的性質を解明した。提案された手法は論文にまとめ、国際ジャーナルから出版された。 最後に、スプライン関数を凸結合させ、平滑化を行う手法を考案した。提案した手法の非漸近的な誤差バウンドを示した。結合されるスプライン関数が多いほどこの誤差バウンドは単調に減少していき、よりシャープな誤差評価が可能となることがわかった。この定理はデータが高次元の場合においても成り立ち、また、様々なタイプのデータ構造にも適応できる柔軟性を持っている。提案手法は論文にまとめ、国際ジャーナルから出版された。
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