本科研費課題では,欠測データを分析する理論を開発し,その理論を判別分析に応用してきた.理論面では,単調,非単調両方の欠測データパターンの下における,MARと同等の条件付き独立性を導出した.加えて,選択行列を用いて,パラメータの計算・推定を容易に行う方法を開発した.この方法により,推定量の性質も調べることが可能となった.応用面では,欠測データの理論を用いて判別分析における半教師あり学習に取り組んだ.ここでの半教師あり学習とは,一部のみが観測されているデータから判別規則を推定することである.そこで欠測データの理論を用いると,一定の条件下ではこのような場合でも正確な判別が可能であることを示した.
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