研究課題/領域番号 |
26730034
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
櫻井 孝平 金沢大学, 電子情報学系, 助教 (80597021)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 実行履歴 / プログラム解析 / デバッグ / モバイルアプリケーション |
研究実績の概要 |
本年度は、資源の制約が大きい環境のために、記録のためのプログラム埋め込みを行わずにアプリケーション開発を支援する手法を開発した。対象としてスマートフォンなどのモバイル端末上でのアプリケーション開発を想定し、一般的な開発者が利用するアプリケーションが出力するログデータから、その出力元のソースコード上の箇所と、プログラム要素へのデータの対応付けを推測する。推測にはあらかじめプログラムの解析を行い、ソースコード上のログ出力箇所が参照するであろう文字列データから索引を作成し、実際のログデータに含まれる単語と比較することで、最適な候補を決定する。ログ出力の箇所を表示する際には、ログ出力箇所で参照される変数から生成されたとみられる部分文字列を特定し、ソースコード上の変数の値として表示を行う。 実際にAndroidアプリケーションを対象とし、統合開発環境に対するプラグインLogChamberとして実装を行った。既存の公開済みのアプリケーションに対して実験を行い、性能を評価したところ、比較的サイズの大きなアプリケーションに対しても実用的な環境と時間で動作することを確認した。また、実際のアプリケーションの欠陥の修正作業に適用し、有効に利用できることを確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、本年度は資源の制約が大きいプログラムのための実行履歴の復元に取り組み、実際にモバイルアプリケーションのログデータからソースコード上の箇所の推測を行う手法を提案し、ツールを実装、実験をおこなうことができた。 これらの成果をまとめ論文の発表を行った。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は長時間の実行履歴の記録に対応するための手法とその利用方法を開発する。より具体的には、長時間実行されるサーバープログラムで利用されるJava言語に対して、実行履歴データを記録するためのツールを開発する。単に記録を行うだけではデータ量が膨大になるため、データサイズに上限を設定し、古いデータを上書きする手法を提案する。その際、すべて上書きするのではなく、なるべくデバッグなどの用途に利用できるように、選択的に上書きを行う。 実装後は実際のオープンソースソフトウェアに対して適用し、実行性能の評価や、デバッグでの有用性を評価し、膨大な実行履歴の中でどのようなデータが実行後の開発作業に有用であるかを明らかにする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初予定したモバイル端末の代わりに、実験に利用する計算機を新たに購入したため、物品費が多くなった一方で、旅費が国内のため予定額より多くなかった結果として次年度使用額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度必要になる実験のための消耗品として計算機用のストレージがあるため、その購入費に充てる。
|