研究課題/領域番号 |
26730045
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
塚田 学 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (90724352)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | IPv6 / ネットワーク / ITS / 標準化 / GeoNetworking / テストベッド |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、日本特有の交通事情を考慮した協調型ITSでのIPv6利用のために、車両状況と周辺環境に応じてIPv6ネットワークを制御するための仕組みを、国際標準化機構(ISO)と欧州電気通信標準化機構(ETSI)で策定が進むITS Station参照基盤との調和をとりながら実現することである。
平成26年度には、欧州プロジェクトの成果をもとに開発された、ITS Station参照基盤に準拠したオープンソース主体の車載器および路上機を接続してテストベッドを構築し、基礎的なネットワーク性能を測定した。また、実機テストベッドでは規模性の評価に限界があるため、実機と同一のソフトウェアをNS3シミュレータ上で動作させるDirect Code Execution(DCE)を用いて、実機での性能評価をシミュレーションで拡張することで、より大規模なネットワークの性能評価を行った。さらに、自動車ネットワーク用性能評価・分析ツール AnaVANETを継続して開発し、成果を論文誌で発表および、国際学会での発表を行った。本ツールは次年度より予定しているフィールド実験に利用する。
また、8月で韓国Daejeonと2月にイタリアPisaで開催されたITS Station参照基盤を策定するISO TC204 WG16の会合に出席し、関連する標準としてISO-16789(IPv6ネットワーク最適化)とISO-24102.6(フロー制御)を議論した。また、東京大学としてETSIの準メンバーに加入し、メールでの議論に参加し、審議中の標準草案を調査した。ISOとETSIで進むITS Station参照基盤との調和を考えるにあたって現状目立った障害はないことを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ITS Station参照基盤に準拠したオープンソース主体の車載器および路上機を接続したテストベッドを構築できた。また、申請書では仮想マシン上にソフトウェアをインストールし、ネットワークでつなぐことで、ソフトウェア機能の確認をすることとしていたが、将来の規模性評価のために有用であると分かり計画を変更してNS3-DCEを利用した。NS3-DCEでは、大規模ネットワークおよび移動を考慮したシミュレーションが可能である。また、車両状況と周辺環境を保持する仕組みと、IPv6ネットワークを制御するための仕組みの検討を進めた。さらに、次年度よりフィールド実験で利用する、自動車ネットワーク用性能評価・分析ツールの論文誌発表と国際学会での発表を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に検討していた、車両状況と周辺環境を保持する仕組みと、IPv6ネットワークを制御するための仕組みのプロトタイプ実装を開始し、そのネットワーク性能を測定する。その際、NS3-DCEで大規模ネットワークおよび移動を考慮したシミュレーションと、実機でのフィールド実験を組み合わせて、普及を見据えた現実的な性能測定を行う予定である。また、測定結果は国際学会等での発表を目指し、完成したソフトウェアは順次オープンソースとして公開していく。ISOとETSIの会合には引き続き出席し、本研究で提案する機構とITS Station参照基盤上の標準との調和を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
実機テストのための車載機と路側機が、バージョン更新の時期にかかっており、全量の購入を控えたため、次年度使用額が生じた。また、予定していた標準化会議への出席が、対応する国内分科会の要請により、旅費補助を受ける代表委員としての渡航となり、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
シミュレーションと実機を用いたフィールド実験を行うのに必要な開発用の環境を強化するために研究費を使用する。また国際学会での発表を行うための旅費や参加費に使用する。さらに、ISOとETSIでの標準化動向を調査し、積極的に標準化活動に関わるため、会合に出席するための旅費や参加費に使用する。必要であれば、欧州でITS Station参照基盤の研究開発に携わる研究者と共同で実験を行うための、渡航費用とする。
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