本研究の目的は、日本特有の交通事情を考慮した協調型ITSに置けるネットワーク利用のため、車両状況と周辺状況に応じてネットワーク制御するための仕組みをISOとETSIで策定の進む ITS Station参照基盤との最大限の整合性を取りながら実現することである。ITS Station参照基盤のネットワーク層の技術であるGeoNetworkingにおいて標準化との整合性を保ったまま、重複パケットを利用してパケット到達率を大幅に改善する手法を提案した。この手法の評価のため、NS-3 Direct Code Execution(DCE)を利用した、実機テストベッドでの実験結果を大規模シミュレーションで拡張するツールを開発した。
また、ITS Station 参照基盤のファシリティ層の技術であるCooperative Awareness Message (CAM)は、車車間のブロードキャストを利用した技術であるが、都市部の多い日本のような環境では、無線の到達距離が制限されるなどの問題がある。これを解決するため、路肩のセンサが交差点に進入する自動車の位置を取得し、無線の到達しにくい場所に代理のCAMを発行するシステムを提案した。この方式でも、標準技術との相互接続性を保つ形の改変とした。
さらに、ITS Station参照基盤を策定するISO TC204 WG16の国内会合に出席し、上記の手法で国際標準化を目指すため、国内の調整を行なっている。また、関連するISO-16789(IPv6ネットワーク最適化)とISO-24102.6(フロー制御)を引き続き議論した。ETSIでも引き続き東京大学は準メンバーとして加入しており、メールでの議論に参加し、審議中の標準草案を調査した。
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