研究課題
平成28年度は、これまでに提案した方式の有用性を示すためのフィールド構築、および実利用に向けたデータ収集に関する調査に取り組んだ。平成27年度、平成28年度において、スマートフォンとUAVを用いた情報収集について提案してきた。しかし、これらの提案は研究者からの視点による考えが強く、実利用につなげるためには、本技術を使用するユーザの視点に基づく批評が重要である。そこで、高知市消防局の協力の下、提案技術の有用性、必要機能の選定、ユースケースの確認などを行ない、これまでの実環境における実験結果も考慮した上で、実利用に向けての課題を明らかにした。災害時において、災害現場を早期に把握するために、スマートフォンやUAVを用いた情報収集は有用であり、特に映像情報は、現場の緊張感や対象物の動きからの気づきなど、口頭や写真では伝達が難しい情報を多く含んでいる。そのため、特に進行中の災害において被害予測を立て易く、人命危険や作業の困難性といった度合いについても視覚的に伝えられるなど、策戦指揮面でのメリットは多い。しかし、映像情報はデータサイズが大きいため、送信に十分な通信状況を確保できない恐れがある。そのため、隊員による操作無しに、アプリケーションが最適な送信方法を自動選択する制御等が次の段階では必要となることが明らかになった。一方、情報収集の面においても、単に情報を収集するだけでなく、それらの集約・分析した情報を的確な意思決定につなげるための状況認識の統一図が求められることを明らかにした。また、災害情報は消防局だけでなく、様々な機関や部署が関連する。そのため、次世代の災害情報システムのあるべき役割、求められる技術、制度等を議論し、地域連携、異分野連携、産学官民連携を促進し、持続可能な災害情報システムの発展を目指すことを目的としたセミナーを行った。
''スマホ電波で被災者捜索 奈良先端大、ドローン活用,'' 日本経済新聞, 2017年1月16日朝刊.次世代災害情報システムヘ向けての連携促進セミナー@高知工科大学永国寺キャンパス 地域連携棟4階, 2017年1月10日.電子情報通信学会 モバイルネットワークとアプリケーション研究会 2015年度優秀発表賞 (対象論文: ドローンを用いた罹災状況収集用センサの試作と実験), 2016年8月.
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画像電子学会誌
巻: Vol.45, No.3 ページ: 397-404