研究課題/領域番号 |
26730051
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
谷川 陽祐 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90548497)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | チャネルアクセス制御 / 送信スケジューリング / 省電力化 / ネットワーク / 情報通信工学 |
研究実績の概要 |
当初の予定に沿ってユニキャスト/マルチキャスト混在環境におけるチャネル状態適応型送信スケジューリング法を検討したが、その過程においてマルチキャストの混在より先にユニキャスト環境でUDPとTCPフローの混在を考慮すべきという結論に至った。UDPユニキャストフローに対してTCP(ユニキャスト)やマルチキャストフローが混在することで、高伝送レートが使える受信局へパケット送信するスケジューリングに対する追加制御が必要になるが、その追加制御はTCPフローが混在する環境の方が検討が容易であり、TCPフロー混在環境で確立した制御をステップにマルチキャスト混在環境へ拡張させた方がより適切なスケジューリング法の確立が期待できると判断したからである。 そこで、まずUDP/TCPフロー混在環境における送信スケジューリング法を確立した。チャネル状態適応型送信スケジューリング法をTCPパケットに適用する場合、チャネル状態が悪化している受信局へのパケット送信を一旦見送ることでTCPレベルで再送タイムアウト(RTO)が誤検出される恐れがある。そこで、各パケットの送信キュー内滞在時間を送信局で管理し、その時間が受信局ごとの平均値を超えないよう各パケットを送信する制御を組み込んだ。これにより、TCPウインドウサイズの低下が抑制され、TCPフローの伝送スループットが向上することを、シミュレーションにより定量的に確認した。 また、全研究期間に対する平成26年度の進捗率を当初の計画通りに達成するため、送信スケジューリングと並行して研究を進められる省電力化制御法を、平成27年度に行う予定を前倒しして確立した。各端末局が他局の通信中にスリープするとともに、各通信にバースト伝送を適用して頻繁なスリープとアウェイクの遷移を抑制することで、各端末局の消費電力量が減少することを、シミュレーションにより定量的に確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究遂行の順序を一部変更しており、平成27年度に実施予定だった内容の一部を平成26年度に実施し、逆に平成26年度実施予定分の一部を平成27年度の実施に変更しているものの、全研究期間に対する進捗率は当初の予定通りである。また、当初予定していなかったTCPフローに対する送信スケジューリング法を確立する等、一部ではあるが、当初予定していなかった機能を追加提案している。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度に確立したUDP/TCPフロー混在環境における送信スケジューリング法やその過程で得られた知見を基に、ユニキャスト/マルチキャスト混在環境におけるチャネル状態変動適応型送信スケジューリング法を確立する。また、その送信スケジューリングに対して上り通信が加わった環境における送信機会配分やACK返信縮退を行い、省電力化制御についてもさらなる低消費電力化の検討や通信性能と省電力化性能のトレードオフ関係性を導出する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度は当初は性能評価用計算機を購入予定であったが、計算機シミュレーションによる性能評価結果の取得を効率化させたことで当研究室で既に所有していた計算機のみを用いて性能評価を行うことができたため、未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は複雑化した方式のシミュレーションを行うため、より多くの計算機資源が必要になる。そこで、この未使用額を新たな計算機購入に使用する予定である。旅費、その他の経費については当初の予定通り計上し、研究調査、研究成果発表、学会参加費、論文別刷費等に使用する予定である。
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