研究課題/領域番号 |
26730059
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
後藤 佑介 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (10551038)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 分割放送 / ストリーミング配信 / スケジューリング / 待ち時間 / データ配信システム |
研究実績の概要 |
本研究では、待ち時間を短縮する分割放送型ストリーミング配信におけるスケジューリング技術の提案、およびスケジューリングを適用可能なシステムの性能評価を行った。具体的には、研究期間内に以下を明らかにした。 1.放送型配信におけるスケジューリング手法の提案 本研究では、選択型コンテンツの放送型配信において、コンテンツ再生時の速度変更を考慮して待ち時間を短縮するスケジューリング手法であるCCB-SS 法を提案した。CCB-SS 法は、番組の視聴構成とサーバが使用できる帯域幅に応じてチャネル数を決定し、コンテンツを早送りで再生する部分と通常の速度で再生する部分の二つに分けてスケジューリングして、待ち時間を短縮できる。評価では既存手法に比べて待ち時間を短縮できることを確認した。 2.放送型配信システムの性能評価 ユーザがコンテンツを選択して視聴する選択型コンテンツの放送型配信において、再生時の待ち時間を短縮するスケジューリング手法を実際のネットワーク環境で評価できる放送型配信システムTeleCaSを提案し、評価した。TeleCaSでは、付加情報を考慮してデータの配信契機を同期する方式、クライアントがセグメントを途中から受信できる方式、および逐次再生に対応する方式の三つを実現して評価を行った。実現方式を用いた場合、付加情報を考慮してデータの配信契機を同期する方式の平均途切れ時間は 2.50 秒、クライアントがセグメントを途中から受信できる方式の平均途切れ時間は 0.48 秒となり、実現方式を用いない場合と比較して、スケジューリング手法の適用による待ち時間の短縮効果を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データ再生時の途切れ時間を短縮するためのスケジューリング手法を提案した上で、スケジューリング手法の有用性を評価するデータ配信システムの評価を行った。成果として、学術論文1件、国際会議論文3件、国内研究会論文6件を発表し、当初の計画を上回った。
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今後の研究の推進方策 |
まず、選択型コンテンツのオンデマンド型配信において、番組再生の待ち時間を短縮するスケジューリング手法を提案する。提案手法では、クライアントが次に視聴するコンテンツの選択中に、サーバが候補となるすべてのコンテンツを配信することで、コンテンツ選択後に発生する待ち時間を既存手法に比べて短縮する。また、提案手法では、コンテンツ選択時間中に選択候補となるコンテンツを配信することで、サーバのコンテンツ配信時間を短縮する。このため、クライアントが番組の視聴を要求する時間間隔が短い場合、サーバが使用できる帯域幅の不足で発生するクライアントの待ち時間を短縮できる。 次に、無線LAN 環境における分割放送型配信システムを実現し、システムの有用性を評価する。本システムでは、無線LAN 環境に対応した通信プロトコルの設計、およびパケット欠損への対応という課題に対して、ルータとイーサネットコンバータを使用した通信プロトコルの構築、およびルータの通信出力やサーバとクライアントの計算機間の性能差を考慮したパケット欠損の発生環境の構築を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していた英語発表件数が1件から3件に増えたため、旅費ならびに学会参加費として20万円を平成28年度予算から前倒しして使用した。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度における研究打合せの予算ならびに学会誌投稿料を調整するとともに、不足した場合は他の外部資金を効率的に利用することで、修正した予算計画で研究を進めていくように努める。
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