本年度,本研究は脳波と脳血流の同時計測結果から,おもに自己組織化マップを用いて脳活動の種類についてクラス分類を行った.その結果,脳波や脳血流から特徴ベクトルを抽出するセグメント(サンプリング対象の区間の大きさ)がクラス分類の精度に強く影響を与えることが分かった.特に,自己組織化マップで求める量子化誤差と分散分析で求めるF値の影響を考察した.本分析結果について論文投稿を行い,学術論文(2016年7月発刊予定)に採択されている.
また,暗算課題において時間変化する被験者の各状態(計算中,読解中,安静中,体動)について,特徴ベクトルの抽出するセグメントのサイズに応じて,識別可能なクラスの種類が階層状に異なるため,階層的に配置する複数の自己組織化マップを提案した.その結果の特徴について論文投稿を行い,国際会議(2016年5月開催)に採択されている.
最後に,暗算課題に関する実験に引き続き,遠隔コミュニケーション環境下の質問者と回答者による記憶課題に関する実験を行い,計算に関する状態だけでなく,質問や解答などの秒単位で変化する脳状態について一元配置の分散分析を行い,脳波と脳血流に関する変化量に有意な主効果(p < 0.1)があることを確認した.現在は,識別可能なクラスの種類と精度について被験者を増やし,実験計画の詳細(実験プロトコル,検証項目)をまとめている.
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