研究課題/領域番号 |
26730081
|
研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
大橋 一徳 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (90617458)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | ブレインマシンインターフェース / 物体認識 |
研究実績の概要 |
本研究は下側頭葉における物体コラム構造を電気刺激を用いて強制的に活動させることによって任意の物体情報を動物に送り込むことを目的としている。 前年度において、コラム内の神経細胞は全層で共通した反応特性を持っていることを示した。しかしながら、動物は全く同じ刺激を与えられたとしても、特定の物体に注意を向けるといった、その時の脳状態によって神経活動を変化させることが知られている。実際、この神経活動の脳状態依存性はコラムレベルでも生じており、視覚応答のタイムコースは特に状態の影響を受けることが分かっている。これは、脳状態に応じて電気刺激方法を変化させる必要性があることを示唆している。 そこで、今年度は前年度と同様16ch多点電極を用いて脳状態に応じたコラム構造刺激選択性の変化に関しての調査を行った。脳状態として、受動状態、注意状態、記憶状態の3状態が行動タスクの中で実現するように設定した。また、前年度ではコラム構造の反応性として皮質全層の反応を平均したものを用いたが、本研究では平均せずコラム内に存在する個々の神経活動を多変量データとして扱った。その結果、脳状態によらずコラム構造は維持されていることが明らかになった。また、コラムの刺激選択性に関してはコラム内の主要成分のみ考慮した場合、脳状態に応じた刺激選択性に変化はみられなかったが、それ以外の成分を考慮した場合、明瞭な脳状態依存性が確認された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は脳を電気刺激する実験を計画していたが、コラム構造の脳状態依存性によって電気刺激方法を変えなければならない可能性が出てきたため、状態依存性の研究を優先したため。
|
今後の研究の推進方策 |
コラムの構造の刺激選択性の大部分は脳状態に大きく依存しないことが判明したため、次年度はコラム構造を電気刺激し、物体情報を認識させる研究を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、電気刺激用特注電極を作成し、それを用いて電気刺激実験を行う予定であったが、これまでの結果から、当初予定していなかった脳状態依存性の検証を行う必要性が出てきたため、今後の電気刺激実験に備えて助成金の使用を控えたため。
|
次年度使用額の使用計画 |
電気刺激実験に伴う実験および解析器材に使用する予定である。
|