本研究は,行動指標および生理指標の観点から,自閉症スペクトラムのパターン認知処理機構を検討しようとするものである。行動指標から,統制群では視覚処理に対するパターンの複雑さの影響が認められたものの,自閉症傾向群ではその影響が認められず,複雑なパターンも十分に処理できることが分かった。この傾向は,生理指標でも確認された。パターンの複雑さを反映すると考えられている脳波成分(P300)を用い,自閉症傾向群の脳波を検討した。結果から,複雑なパターンであっても,処理負荷が小さいことが明らかとなった。 本研究では,以上に加えて,アレキシサイミア(感情障害)やADHDのパターン認知についても検討した。
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