ライトフィールドディスプレイの構成方法およびその校正に関して検討を行った.ライトフィールドディスプレイには,レンズアレイと通常ディスプレイの組み合わせを用いた.この方法では,ディスプレイから出力された光線をレンズアレイにより屈折させることで,方向ごとに異なる光線を出力可能とした.実際に試作したライトフィールドディスプレイを観測することで,通常のディスプレイでは再現不可能なライトフィールドを構成可能であることを確認した.このような装置を試作し,以降ではこれをを用いた.次に,ライトフィールドディスプレイの校正については,レンズアレイの焦点距離やディスプレイの特性のばらつきなどにより,単純な幾何的校正のみでは困難であることを確認した.そのため,観測ベースの方法によりライトフィールドディスプレイの校正を行った.具体的にはライトフィールドディスプレイを1点ずつ順次発行させ,これをライトフィールドディスプレイからの出力を点広がり関数(PSF:Point Spread Function)の集合として記録した.このようにして記録されたPSFの集合をライトフィールドディスプレイの観測モデルとし,これによりディスプレイの校正を行った.さらに,この校正情報を元に任意のライトフィールドを構成するための提示画像生成法を確立した.このようにして得られた情報をもとに,適切な視力矯正画像を作成可能であることを確認した.本研究で確立された方法は,単純な視力矯正を実現しただけでなく,任意のライトフィールドを構成可能とするライトフィールドディスプレイを簡易な装置のみで実現しており,様々な方法への発展を期待することができる.
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