研究課題/領域番号 |
26730091
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
武富 貴史 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教 (50610664)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | カメラ位置・姿勢推定 / 拡張現実感 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、拡張現実感においてカメラの内部パラメータが未知の場合においても、現実環境と仮想環境を高精度に位置合わせ可能なカメラ位置・姿勢推定手法の開発を目指している。これまでの拡張現実感では、高精度な位置合わせの実現には、仮想物体の合成対象となる映像を撮影するカメラの内部パラメータ(焦点距離など)を事前にキャリブレーションし固定する必要があった。このような問題に対して、平成26年度は、カメラズームとカメラの内部パラメータの変化の関係を事前に計測することにより、カメラズーム機能利用時においても高精度なカメラ位置・姿勢推定が実現可能なことを確認した。この研究成果に関しては、国際論文誌(Elsevier Computers and Graphics)に投稿し掲載がされた。また、年度後半では、マーカや三次元モデルを用いずにカメラの位置・姿勢の推定が可能なVisual-SLAMアルゴリズムにおいて、カメラズームを利用可能な手法の開発を行った。提案手法は、一般的なVisual-SLAMアルゴリズムの前処理として設計されており、入力画像におけるカメラズームの影響をVisual-SLAMアルゴリズムへの入力前に取り除くものとなっている。提案手法を用いることで、オープンソースとして公開されているVisual-SLAMアルゴリズムに対して、軽微な改変を加えることでカメラズーム対応のVisual-SLAMアルゴリズムとすることが可能となる。本研究成果については、国際会議(IEEE Virtual Reality)で発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は、長期海外出張があったため、当初の研究計画で実施予定であったデータベースの構築は行わず、最終年度に実施予定であったVisual-SLAMでのカメラズームの利用可能性について検証を行った。その結果、既存のアルゴリズムに対して、軽微な修正を行うことで、カメラズームに対応することが可能であることが分かった。また、カメラの内部パラメータの変化を事前に計測することによって、カメラズーム利用時にも高精度にカメラ位置・姿勢を推定可能な手法を開発した。以上のように、当初の研究計画に変更はあったが、おおむね順調に進展していると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、当該年度で開発したVisual-SLAMにおいてカメラズームの倍率を推定する手法とカメラの内部パラメータの変化を事前に計測することによってカメラズーム利用時にも高精度にカメラ位置・姿勢を推定可能な手法を統合する。これにより、Visual-SLAMにおいてカメラズームを用いた場合においても、高精度にカメラ位置・姿勢を推定可能な手法の実現を目指す。また、様々なカメラレンズの内部パラメータ変化を計測しデータベース化することで、カメラキャリブレーションが不要なVisual-SLAMアルゴリズムの開発を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に長期海外出張があり、当初の計画を変更し、アルゴリズムの開発を主として行ったため物品購入のために計上していた予算に次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、研究計画で初年度に行う予定であった様々なカメラレンズの内部パラメータ特性を計測するために利用する予定である。そのため、様々なカメラレンズを購入またはレンタルするために使用する。
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