カメラパラメータの推定処理について、平成27年度までの成果によって内部パラメータ変化時にもカメラパラメータを推定することが可能となっている。そのため、平成28年度は、本研究課題でテーマとしているカメラ特性を考慮した推定手法の開発という観点から、新たに、カメラの動きやシャッター特性などを考慮したカメラパラメータ推定手法の開発にも取り組んだ。具体的には、スポーツトレーニングなどの現場においては、三脚上に固定したカメラを用いて選手のフォームを記録することが行われている。その際に、短距離走トレーニングの現場では、フォースプレートを用いて各ステップにおける三次元床反力データを取得し解析する試みが行われている。そこで、三次元床反力データを三脚上に固定されたビデオカメラで撮影された映像中へ位置合わせし重畳表示するためのカメラパラメータ推定手法を開発した。また、ウェブカメラやスマートフォンで利用されているカメラはローリングシャッターであるのに対して、一般的なカメラパラメータ推定手法はグローバルシャッターを想定しており、ローリングシャッターによる画像歪が推定精度の低下を招いているという現状がある。このような問題に対して、ローリングシャッターカメラのためのカメラパラメータ推定手法の開発を行っている。さらに、カメラパラメータ推定手法の精度評価を最終年度の研究課題として設定していたが、これに関しては、オンサイトでのカメラパラメータ推定手法の精度評価方法としてトラッキングコンペティションを日本バーチャルリアリティ学会の年次大会で企画し実施した。
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