研究課題/領域番号 |
26730092
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
原 直 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (50402467)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 音声対話 / 情報検索 / 運転行動 / 生体信号 / 高度道路交通システム(ITS) / スマートフォン |
研究実績の概要 |
安全性を考慮したカーナビゲーション音声対話機能の実現のために、安全性の度合いを利用者の運転操作と車の走行状況から推定し、その度合いに応じた音声対話戦略の選択方式について研究を行った。具体的には(1)マルチセンサを用いた利用者の運転状況推定システムの研究と、(2)安全運転に配慮したカーナビゲーション用の音声対話戦略に関する研究を行った。 (1)運転行動コーパスを用いて、運転以外のタスクの有無を判別する実験を行うことで、運転者の運転への集中度合いを定量化する方式を検討した。実験的に男性9名女性9名のデータを用いて、運転中の二次タスク実行の有無を判別するための識別器を構築した。また、運転中のドライバや車両から得られる生体信号や車両信号について、識別に有効な特徴量を検討した。実験の結果、男女差による信号の違いが見られることが確認された。また、加速度信号を用いた識別が有効であることが示された。 (2)音声対話戦略を効率的に評価するための対話シミュレータを構築した。そして、シミュレータを利用した対話戦略の検討を行った。シミュレータとしてはシステムの挙動を模したシミュレータとユーザの挙動を模したシミュレータを構築した。ユーザが運転に集中しているときにはユーザによる聞き誤りが起こる、という条件を加えてシミュレーションによる対話戦略の効率を評価したところ、冗長な発話を加えて個々の発話にかかる時間を延ばしたほうが、最終的に対話終了に至るまでの時間が短くなることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
運転行動コーパスの入手と利用のための準備が整い、ドライバの運転負荷を推論するモデルの検討を行った。また、対話戦略の性能評価を効率よくおこなうためのシミュレータを開発し、実際に対話戦略の検討も行った。これらの成果から、研究はおおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
おおむね順調に進展していることから、当初の研究計画に従って研究を進めていく。 1.データ収録システムの開発と運転状況の推定モデルの高度化を実施する。具体的には、実際の可搬型端末で運手中のデータを収録できるシステムを作成して、予備実験としてデータ収録を実施する。また、平成26年度に得られた知見に基づいて、実データを用いる場合の推論モデルの検討と評価を行っていく。 2.カーナビゲーションのための音声対話プロトタイプシステムの構築を行う。特に、運転者が安全にシステムを利用できる状況での対話戦略と安全に利用できないと思われる状況での対話戦略について検討する。この対話戦略の検討には平成26年度に作成したシミュレータを用いる。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定では入手したデータベースの管理と研究実施に向けた準備作業にかかる謝金を計上していた。しかし、データ管理の実施が主研究者のみで十分可能であったため、当初予定していたデータ管理に関する謝金が発生しなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度には実験の実施補助や実験データの管理として謝金が必要となるため、次年度以降の謝金として利用する。また、計画時に予定していた装着型センサーデバイスより高性能な製品が発表されたため、その購入費用に充てる予定である。
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