本研究では,複数の自律型デジタルテーブルを連携して作業空間内を自走させ,センサ等で認識される作業状態などに応じて空間構成を動的に変化させることで,ユーザにとって快適な協調作業空間を柔軟に生成するシステムを構築してきた.
本研究で得られた主な成果は以下である.(1)複数台のタッチ認識が可能な自走式デジタルテーブルを試作した.4人用と1人用の異なる2つのテーブルを試作し,異なる利用可能性を議論した.(2)単一または複数台の自走式デジタルテーブルの制御方法を確立した.ここでは,主に外部のトラッキングシステムを併用し,テーブルを自律的に任意の場所に精度高く移動することができる技術を開発した.3)1と2で開発したテーブルと制御アルゴリズムを用いて,自走式デジタルテーブルを移動,結合,分離することで作業空間を動的に形成するアプリケーションを構築した.これらの基本移動機能を基に,ユーザへの追従,ワークスペースの臨時的な利用,ワークスペースの結合と分離などが可能なフレームワークを構築した.4)その有効性や課題などをユーザスタディを実施して検証した.その結果,本提案により,動的性のあるタスクに対応する形で多様な作業空間を提供できること,またそれを通して,ユーザの快適性や空間的行動を大きく改善できる可能性を示した.その他,単一テーブルの利用より複数台利用の効果が大きいことなどを確認した.
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