研究課題/領域番号 |
26730104
|
研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
遠藤 孝浩 岐阜大学, 工学部, 助教 (70432185)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 技能伝承 / ハプティックインタフェース / 触力覚 / バーチャルリアリティ / 教育工学 |
研究実績の概要 |
本研究では、5指に柔軟感を提示可能な独自の触力覚提示装置を用い、複数指における柔軟感の伝達が可能な技能訓練システムの構築を目的としている。特に、本年度は受動訓練法の構築を目指し研究開発を行った。また関連が深い研究として、側面設置型多指ハプティックインターフェイスの制御に関する研究を行った。 受動訓練システムは、保存された熟練者の動作へ初学者をガイドし、初学者が熟練者の動作を観察および体験するものである。このため、熟練者の指先位置、力、力分布の保存と、初学者のそれらデータへの誘導が求められる。このため、指ホルダ(操作者が5指力覚提示装置と指を接続する際、自身の5指に装着するホルダ)内に柔軟シートを導入し、複数のモータにより、柔軟シートの柔らかさおよびシートの高さを制御できる新たな指ホルダ(柔軟感提示用指ホルダ)を開発した。そして、柔軟感提示用指ホルダおよび5指力覚提示装置を統合することで、受動訓練システムを開発した。これにより、データ保存に関しては、仮想環境内で操作している熟練者の指先位置・力を5指力覚提示装置で取得し、力分布は、ヘルツの接触理論により力と位置から計算することで取得可能である。またデータへの誘導に関しては、5指力覚提示装置を用いることで、初学者の指先位置を熟練者の指先位置へ誘導でき、柔軟感提示用指ホルダ内のシート高さを、初学者の指先力が熟練者と等しくなるよう制御することで、力の誘導が可能となった。なお接触力の誘導に関しては、ヘルツの接触理論および柔軟シートの張力制御により行い、その有効性を検討した。 また、本提案課題で得られた成果をまとめ、学術論文誌への論文投稿を行い、成果の普及に努めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の目的は、複数指における柔軟感の伝達が可能な技能訓練システムの構築であり、具体的には、(1)学習者の観察・体験に重点を置いた受動訓練法、(2)修正に重点を置いた能動訓練法の2段階の訓練方策を提案することである。特に、交付申請書における本年度の目標は、受動訓練法を行える受動訓練システムの構築とした。柔軟感提示用指ホルダを新たに開発し、柔軟感提示用指ホルダと側面設置型多指ハプティックインターフェイスを組み合わせることで、受動訓練が可能な受動訓練システムの構築を行った。このため、研究目的に対する現在までの達成度は、おおむね順調に進展していると言える。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策として、次年度では、能動訓練法の開発を予定している。能動訓練法は、仮想環境上で訓練中の初学者に、保存した熟練者の動作を提示し、初学者が自身の動作を修正しながら訓練する方法である。保存した熟練者の情報を初学者へ効果的に提示する方法を提案することを目指す。
|