研究課題/領域番号 |
26730106
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
福地 健太郎 明治大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (30377022)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ものづくり / ゲーミフィケーション / ヒューマンコンピュテーション / 集合知 / consumer generated media |
研究実績の概要 |
26年度は音響信号を使ったカメラナビゲーションの研究を進展させた。三次元音響と周波数変調を組み合わせた音声フィードバックにより、聴覚刺激のみでビューファインダによる視覚的フィードバックと比べても遜色のない精度でナビゲーションができることを実験によって示すことができた。この成果は情報処理学会論文誌にて報告した。 この研究の過程で、音声フィードバックによるナビゲーションの評価手法を確立した。本課題ではウェブアプリケーションを通じて広く被験者を募ることを想定しているため、実機あるいはそれを模した器具による実験は馴染まない。そのため、一般的なディスプレイとマウスの組み合わせによって遂行できる実験環境を整える必要があったが、前述の実験によって、デスクトップアプリケーションによる実験と実機による実験とを実施し、それらの結果がある程度適合することを確認することができた。 また、前述のフィードバックシステムを応用して、ユーザーが音声フィードバックをカスタマイズできるバージョンの開発を進めた。 また、スマートフォン端末向けのアプリケーションの開発については、実物体を併用して、写真を2枚撮影し、その写真間の遷移を簡単なタッチ操作によってプログラムし、インタラクティブな操作のカタログを作成することができるアプリケーションの開発を行った。同アプリケーションでは作成されたアイテムはサーバに蓄積され、その中から適当な数がミニゲームとしてアプリケーションにダウンロードされ、ユーザーはそのゲームで遊ぶことができ、また自分でもオリジナルのアイテムを作成することが可能となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
26年度の計画は、 a) 音響フィードバックによるナビゲーション支援を題材としたゲームプラットフォームの開発と運用、 b) 他開発課題への展開と統合プラットフォームの開発、 c) スマートフォン端末向けクライアントの開発、 d) センサ教材向けプラットフォームの開発、 e) ものづくり支援プラットフォームへの統合、のうち、主に a)b) の開発を進め、また並行して部分的に c)d) の開発 に着手することを計画していた。 このうち、a)についてはプラットフォームの試作を完了した。b)についてはまだ適切な課題を設定するまでに到達できていない。c)の開発については計画を前倒しで進め、現在テストの段階にある。d)については、これまでに開発したセンサ教材をベースに、c)で開発した写真を用いたアプリケーションを結びつけ、センサにより状態遷移を制御できるシステムの開発に着手している。26年度の段階では対応するセンサの種類に限りがあり、またセンサの値を処理し分岐を決定する部分のインタフェースの設計に課題があり、テストプレーヤーから不評であったため、現在はその再設計を進めている。 当初計画より進行が遅れている原因として、研究開発を分担していた学生が諸事情によりプロジェクトを離れたため、開発力の低下を招いていることが挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
研究開発体制の変化に伴い、研究計画を修正する。音響フィードバックによるナビゲーション支援については、Webプラットフォームに載せての試験は一時的に中断し、デスクトップ環境上で動作するアプリケーション上にゲーム要素を組み入れたシステムを構築し、研究代表者が所属する大学の学生を対象に試験を実施することとする。この試験では、プログラミングによってナビゲーション精度の向上が図れることを示した上で、プレーヤー間でのプログラミング競争によりナビゲーションの精度向上を促進することが可能であることを示し、またその過程で、プレーヤー間でのプログラムの交換により全体のナビゲーション精度の向上が図れるか、またプレーヤー間の個人差がどの程度生じ、それがそれぞれのプレーヤーによるプログラムでどの程度埋めることができるか、といった点について評価を進める。これにより、プレーヤー間の個人差に着目した研究を進め、参加者が単一のゴールに向けて貢献をするのではない、多様な参加者に対応したものづくりの指針を得ることを目指す。 また、スマートフォンによるインタラクションカタログ作成アプリケーションについては、引き続きアプリケーションの改善を図り、27年度には本実験への移行を進める。 また、あらたな対象課題としては、視覚認知の研究において、認知過程や見え方の定量的測定において提案手法を応用できないかという問い合わせを受けており、これについての研究を進めていくことを計画している。すなわち、視覚認知の評価実験において被験者に見え方を自己申告させると意図する・しないに関わらず虚偽の報告がなされることが多く、実験の結果の信頼性が低くなるという課題があり、これにゲーミフィケーションの考え方を応用し、被験者がゲームの要領で評価実験に参加できるよう評価実験用アプリケーションを構築することを狙うものである。
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次年度使用額が生じた理由 |
アプリケーション開発にかかる外注費が大幅に節約できたため、余剰金が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
あらたに必要が生じたアプリケーションの開発費に充当する。
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