研究課題/領域番号 |
26730107
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
丸谷 宜史 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 研究員 (30452311)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 手術プロセス / 有限オートマトン / 力覚提示 / 手技教示 |
研究実績の概要 |
本研究では,内視鏡外科手術における熟練者の手技を手術プロセス単位でアーカイブ化することで,学習者が任意の手術プロセスにおける熟練者の手技をなぞることが可能な手技訓練支援システムの実現を目標としている. 今年度は内視鏡手術シミュレータを用いた作業を対象に,主に学習者・熟練者の手技とシミュレータ内部の視覚・力覚データを観測・アーカイブするシステムの構築と,手術プロセスに基づく観測データとシミュレータ内部データを統合した手技モデル作成について取り組み,熟練者の手技の獲得・提示方法に関する検討,およびシミュレータ内部のデータからの手術プロセス認識について取り組んだ. 具体的には,熟練者の手技の獲得・提示方法に関する検討に関しては,ワイヤ型力覚提示装置を用いて教師データの手の位置を獲得し,訓練者に提示するフレームワークの実現・検証と,市販の力覚提示装置を用いた手技教示法に関する基礎的検討を行った.また,シミュレータ内部のデータからの手術プロセス認識に関しては,シミュレータから獲得できる手術器具先端位置・臓器の状態・操作内容の時系列データをもとに,手術プロセスを認識する手法を提案した.この手法は,手術プロセスで規定される器具・処置箇所・処置内容の三者それぞれの状態を受理する有限オートマトンを設計し,それらの状態遷移を受け,終了状態にたどり着いた時に,手術プロセスが達成されたとして認識する手法であり,実際にシミュレータを使った検証では8割程度の認識率を達成するとともに,操作ミスによる有限オートマトンの認識失敗の事例を見つけることができ,改良のための手がかりを得ることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目的に設定していた,学習者・熟練者の手技とシミュレータ内部の視覚・力覚データを観測・アーカイブするシステムの構築については,外部からの観測映像に基づくシステム構築については連携ができていないものの直接位置を計測するシステムを用いて必要なデータの獲得ができていることに加え,次年度以降に予定していた手技モデリングおよび手技提示に関する基礎的検討ができていることから,おおむね順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り,シミュレーションデータとアーカイブデータを統合した手技モデル作成,および学習者に対して熟練者の手技を視覚的・力覚的に提示する手法の確立について取り組んでいく. 前者については訓練者の行動のみでなく,訓練者の視線に着目し,手術プロセス遷移に関する訓練者の意図を含めたモデリングについて検討するとともに,後者については,被験者数の増加や様々な視覚的・力覚敵教示法を通じた検証を行っていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度は,シミュレータ内部データによる手術プロセス認識および,手技教示手法の基礎的検討を優先し,既存の接触式位置計測システムを用いたシステムの利用により研究を推進したことにより,当初想定した機器の購入を次年度に持ち越したため.
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次年度使用額の使用計画 |
初年度の導入を予定していた手技観測用の距離センサの購入を行う.
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