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2014 年度 実施状況報告書

Pseudo-transparencyに基づいた透過知覚に関する心理物理学的検討

研究課題

研究課題/領域番号 26730108
研究機関筑波大学

研究代表者

大槻 麻衣  筑波大学, システム情報系, 助教 (30609095)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワード拡張現実感 / 複合現実感 / 奥行き知覚 / ステレオ立体視
研究実績の概要

現実世界と仮想世界を融合する「複合現実感 (Mixed Reality; MR)」分野における実用的なアプリケーション例として,人体内部にある腫瘍や重要な器官,あるいは工業製品の内部機構を仮想物体として,実際の風景に重畳描画するシステムがあり,現実であれば手前の物体に遮られて見えないはずの内部の物体を同時に観察できる.ここで,ステレオ立体視を行う場合,両眼視差からは「仮想物体は実物体よりも奥にある」と知覚される一方で,遮蔽手がかりからは「実物体表面は不透明であるため,見えている仮想物体は実物体よりも手前にある」とも知覚されている.そのため,2つの知覚の間で矛盾が生じ,結果として仮想物体の奥行きが正しく知覚できない.
本研究ではこの問題に対し,Pseudo-Transparencyを用いた解決に取り組んでいる.具体的には,ランダムドットによって作成した仮想のマスクを実物体の上に重畳描画し,そのマスク越しに内部の仮想物体を観察する.これによりあたかも「手前の物体が透明になった」ように知覚され,結果として,背面にある仮想物体の奥行き知覚を容易にする.
これまでに,このマスクのデザインを様々に変更し,2種類の系統的な実験によってその特性を分析した.本研究では,これを発展させ,関連研究で提案されている手法と比較し,その有用性を確認した.また,奥行き知覚においては移動視差の要因も重要となるが,前研究ではまだこれを考慮した検討は行っていなかったため,これについても実験を行い,移動視差がある場合でも適用可能であることがわかった.
成果については2014年9月に,京都で行われたヒューマンインタフェースシンポジウム2014において,口頭発表,およびデモ発表を行った.また「学術奨励賞」を受賞した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初は,前研究に引き続き,MR環境下で透明知覚に影響すると考えられる要因を様々に変更し,異なる条件下で同様の実験を行った場合に,同じ傾向が得られるかを確認する予定であった.
しかし,それよりもまず,提案手法と関連研究で提案されている手法と比較し,その有用性を確認するのが先決であると考え,これを確かめる実験を行った.また,奥行き知覚においては移動視差の要因も重要となるが,前研究ではまだこれを考慮した検討は行っていなかったため,これについても実験によって分析を行った.
申請書に記載した「(A-4) 仮想物体の3次元化」「(C) MRを実現する機器構成は様々であるため,広範なシステムで提案手法の実現可能性について検討する.」については,申請書に記載した通り,没入感の高いビデオシースルーHMD (Head mounted display) としてHMD Oculus Rift DK2およびこれにマウント可能なステレオカメラOvrvisionを用いてMRシステムを構築し,実際の風景および3次元の仮想物体を用いた実験を実施し,提案手法の有用性を確認した.

今後の研究の推進方策

申請書に記載した「(A-1) 実物体と仮想物体の色組み合わせ:Web Content Accessibility Guidelines (WCAG) 2.0内で定められている計算式に沿って輝度比を計算し,輝度比の異なる複数の組み合わせを作成,比較する.」「(A-2) 実物体の表面テクスチャ:ここでは,身の回りで工業製品などに利用されている布,革,金属などのテクスチャの中からいくつかを用いる.」については今回の実験で作成したシステムを活用し,今後検討を進める.
「(A-3) 実物体の表面形状」および「(C) プロジェクタを併用するMR環境での実現」についても検討を進める.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014 その他

すべて 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [学会発表] ステレオ立体視環境での疑似透過知覚に関する心理物理学的検討2014

    • 著者名/発表者名
      大槻麻衣,Paul Milgram
    • 学会等名
      ヒューマンインタフェースシンポジウム2014
    • 発表場所
      京都工芸繊維大学(京都)
    • 年月日
      2014-09-12
  • [学会発表] ステレオ立体視環境でのランダムドットマスクを用いた疑似透過知覚の実現2014

    • 著者名/発表者名
      大槻麻衣,Paul Milgram
    • 学会等名
      ヒューマンインタフェースシンポジウム2014
    • 発表場所
      京都工芸繊維大学(京都)
    • 年月日
      2014-09-11
  • [備考] 大槻 麻衣 助教がヒューマンインタフェース学会 学術奨励賞を受賞しました。

    • URL

      http://www.emp.tsukuba.ac.jp/wp/archives/918

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公開日: 2016-06-01  

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