研究実績の概要 |
前年度に引き続き、平成27年度も英文和訳を対象にした統計的なスキル推定手法の研究を実施した。語彙知識を利用して作業者の翻訳スキルを測る確率モデルと、英文の特徴を利用して仕事の要求スキルを推定する確率モデルを構築し、その実証実験を行った。クラウドソーシングにて英文和訳作業と語彙問題への回答作業を依頼し、55人の作業者による延べ1,500件の英文和訳データセットを作成した。収集したデータセットを用いた実証実験により、我々が考案したスキル推定手法を用いることで、英文和訳問題に対する適切な作業者割り当てが可能となり、一定品質以上の翻訳結果の獲得に必要な翻訳者雇用費用を大幅に削減できることを確認した。研究目的どおりの、作業者の現在のスキルと仕事の要求スキルを推定する手法を英文和訳に対しては構築することができたと言える。この成果は、個人のスキルを活かしながら時間と場所を選ばずに働くことができる場の提供に繋がると考えられる。本成果は人工知能分野の一流国際会議であるIJCAI 2016に採択され、また国内でも、「マルチメディア、分散、協調とモバイル(DICOMO2015)シンポジウム」で優秀論文賞、「NLP若手の会 (YANS) 第10回シンポジウム」で奨励賞を受賞した。
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