研究課題/領域番号 |
26730127
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
森野 佳生 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 特任助教 (90712737)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ネットワーク理論 / 非線形理論 / 数理工学 / 非線形動力学 |
研究実績の概要 |
ネットワークの頑強性に関する様々な数理的研究がこれまで多数行われてきたが,その多くの研究ではネットワークのノードはダイナミクスを持たない静的なものとして扱われてきた.近年,ネットワークのノードがダイナミクスを持つ動的な場合の頑強性(動的頑強性)に関する研究が行われている.本研究では,これらの動的な素子から構成されるネットワークに対して,その構成要素の大部分が破損し,ネットワークが保持すべき機能が失われた場合に,この失われた機能を効率的に回復させる方法の基礎的な理解を目的としている.また,これらの基礎理解を得るための土台となる数理的研究や,これらの基礎理解をより現実的な系へと応用するための基礎研究も目的の一部としている. 本年度は,まず振動回復現象の基礎的な理解を得るために,周期性位相振動子と興奮性位相振動子からなるネットワークの動的頑強性の解析を行った.具体的には,興奮性位相振動子の一部がヘテロ性を有する場合を考え,系の描像及び動的頑強性のこれらの素子の割合に対する依存性を解析した.その結果,ヘテロ性を持つ興奮性位相振動子が含まれる場合と含まれない従来の場合とで,系の描像及び動的頑強性が大きく異なることを確認した.また,動的頑強性をより深く理解するためにネットワーク構造が次数相関などの特徴を持つ場合の解析も行った.これらの研究成果の一部は,日本物理学会第70回年次大会などの会議で発表し,論文を現在投稿準備中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は,ヘテロ性を有する興奮性位相振動子の観点からネットワークの動的頑強性を解析した.また,ネットワーク構造に特徴を入れた場合の解析も行った.これらは来年度以降の研究に基礎的な土台を与える非常に重要なステップである.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究方針としては,今年度得られた動的頑強性の理解を基にして,振動回復現象への基礎的理解をより深めていきたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は,研究活動・研究成果発表に必要な物品費・旅費・その他の費用を,研究状況・研究環境などを考慮しつつ厳選した為であった.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は,研究活動・研究成果発表に必要な物品費・旅費・その他の費用に使用する予定である.
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