研究課題/領域番号 |
26730130
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
兼村 厚範 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 研究員 (50580297)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 辞書学習 / スパース性 / 脳波 / Brain computer interface |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、辞書学習の枠組みにスパース構造正則化を導入することにより、脳機能信号解析における新規な手法を提案することである。辞書学習とは、信号を表現する基底をデータ適応的に生成する方法論である。辞書学習は、基底に直交性ではなくスパース性を仮定することで、信号を効率よくかつ柔軟に表現できる。辞書学習による脳活動信号の処理は、ますます実世界応用に近づきつつある当該分野を発展させ、周辺分野に影響を及ぼす可能性を持つ。本年度は、信号の有する構造に対応した辞書学習法を提案した。具体的には、主に多人数・複数セッションに共通する脳活動辞書と人・セッション特有の変換に脳信号を分離し、いずれもデータから学習した。共通辞書は使い回し可能、変換は個別に学習という枠組みを利用し、タスクを行っていない数分間の安静時脳活動のみによる較正を可能とした。これには、次のような背景と目的がある。脳活動を外部機器の操作、訓練、リハビリなどに利用するブレイン・コンピュータ・インタフェース(BCI)が計測機器・解析技術の発展により現実のものとなりつつある。しかし、脳波信号は、同じタスクを遂行していても変動する(人がかわったり、同じ人でも計測セッションが異なると変動する)ため、多人数・複数セッションにわたる脳波解析は困難であった。従来、このような変動は、次の2手法で解決されていた。すなわち、1) BCI利用の直前に数十分程度の較正用計測を行う、2) 変動にロバストなユニバーサル解析器を構築する。しかし、前者は時間を要し、後者はどの利用者に対しても最適でないという欠点があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脳波のモデリングに適したスパース辞書学習が実現できたため。
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今後の研究の推進方策 |
計画通り継続して研究を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していたストレージサーバの導入を後年度にまわしたため。
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次年度使用額の使用計画 |
研究データの蓄積に応じて随時ストレージサーバを導入する。
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