本研究課題では,環境についての知識を前提とすることができない実世界で活動するロボットの開発を目的として,多様なセンサを用いた実世界でのロボットの動作学習に取り組んだものである.実世界では,多様な身体的なインタラクションが避けられないため,様々なセンサ情報を統合し,状況に応じた動作を行う必要がある.そこで本研究では,多数のセンサモダリティを利用したロボットの運動学習や,実世界で簡単に得ることができる画像情報を直接利用した人間とロボットによる身体的なインタラクションを含む動作の学習,多様な動作を実現するための多自由度ロボットの制御法についての研究を行った. 多数のセンサモダリティを利用したロボットの運動学習としては,センサモダリティごとに,制御則に対する寄与度を学習することで,タスクの実行には必要なモダリティだけを用いた方策関数を学習する強化学習法を提案した.また,多自由度のロボットに対する制御法として,人間型の筋骨格ロボットに対する高速なノンパラメトリック法を用いたロードマップ法を提案し,モデル化に必要なデータが少ない場合でも,モデル化の信頼性に応じたロードマップを作ることで,ダイナミクスについての知識が与えられなくても動作可能な制御法を構築した.また,2016年度には実応用として人間型ロボットを用いた人間とのインタラクションの学習にも取り組み,深層ニューラルネットワークを用いることで,画像を入力として実環境中での状況を理解し,人との身体的なインタラクションを学習するロボットを開発した.
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