研究課題/領域番号 |
26730137
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
山口 明彦 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教 (10625031)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 安全 / 安全性指標 / ヒューマンロボットインタラクション / ヒューマノイドロボット |
研究実績の概要 |
本年度の目標は,一般化VMの開発,人間の行動予測を組み込んだ安全性指標の提案,新たな安全性指標を用いた一般化VMによる動作制御および行動計画であった.まず我々は,安全性指標の研究と,それを実際のロボット制御で使用するための一般化VMの開発に取り組んだ.一般化VMは,我々がこれまでに提案してきた手法 Asymmetric Velocity Moderation (AVM) を一般化する形で,アルゴリズムを導出した.具体的には,AVMでは安全性指標とそれを考慮した制御が陽に分離されていなかったので,まず安全性指標を「ロボットと周囲の人の現在の状態およびロボットの制御指令を入力すれば,その安全の度合いがスカラー量として計算される」という一般化した形に記述しなおし,一般化された安全性指標に対する制御アルゴリズムとして一般化VMを導出した.次に人間の行動予測を組み込んだ安全性指標を開発するために,現在のロボットと周囲の人の状態(それぞれの位置・速度)から,将来予期される物理的な接触によって生じる衝撃力をモデル化し,これに逆相関する形で安全性指標の定義とした.まずは理論を組み立て易いように球モデルから始め,多関節リンクモデルへと拡張した.現在,開発した安全性指標および一般化VMを実装している段階であり,等身大のヒューマノイドロボットHRP-4を用いた評価実験を計画している.新たな安全性指標を用いた行動計画手法についても,計算量と許容できる計算時間を考慮しつつ,開発計画を立てた.これらと並行して,安全性指標の評価実験の枠組みを構築するため,人間とロボットが日常的にインタラクションする行動パターンを数種類考案し,シミュレーションおよび実機実験を通して検証した.一連の成果を投稿論文1件,国際会議1件,国内会議1件で発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
投稿論文の執筆,および安全性指標の開発に予想以上に時間を要したため,目標よりも進捗が遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
人間の行動予測を組み込んだ安全性指標の提案,安全性指標を用いたロボットの動作制御と行動計画・再計画が本研究の大きな目標であり,残りの期間でこれらを達成できるように研究計画を練り直した.安全性指標の計算では,簡略化できる部分は大幅に簡略化し,行動計画・再計画手法についても,実装時間を大幅に短縮できるような手法を採用することとした.
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次年度使用額が生じた理由 |
予定より国際会議が1件程度少なかったこと,および被験者実験に係る謝金を使用しなかったこと(研究室内のメンバーに協力を依頼した)が原因.
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次年度使用額の使用計画 |
実験用の等身大ヒューマノイドロボットHRP-4のメンテナンス費用(当初の予想よりも高額であることがわかった)および学会参加費・旅費(当初の予定に追加した分)に充てる.
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